全 情 報

ID番号 00087
事件名 地位確認請求事件
いわゆる事件名 アサヒ交通事件
争点
事案概要  取締役兼部長職に就いていた者らが、取締役の任期満了後、雇用関係終了の取扱いを受けたので、従業員たる地位の確認を請求した事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法9条
民法623条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 取締役・監査役
裁判年月日 1973年5月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (ワ) 9598 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報715号104頁
審級関係
評釈論文
判決理由  《証拠略》を総合すると、被告は職制上営業部、経理部および整備部を置いて業務を執行しているが、被告の取締役は被告の出資者たる社員のなかから選任され、かつ、その職に就任した者は、いわゆる業務担当取締役として右各部の長たる職位に就いて事務を処理し、報酬として、取締役たる役員報酬のほかに、その担当業務に係る労務の給付に対して月額給与の支払いを受け、取締役の解任、任期満了などの事由により終任したときは、その業務担当を解かれることとしていたことが認められるから、被告の取締役が業務担当取締役に就任したときは、これによって被告とその取締役との間において取締役の在任期間を存続期間とし、その担当業務に係る労務を給付することを目的とする雇用契約が成立するものと解すべきである。なお、右認定事実によれば、被告の業務担当取締役に就任した者は、被告の出資者たる社員の地位、被告の取締役たる役員の地位および被告の職制上部長たる従業員の地位を三つながら併有するものといわなければならない。
 原告X1は昭和三九年五月二八日に経理部長として、原告X2は昭和四一年五月三〇日に整備部長としてそれぞれ被告の業務担当取締役に就任したときにおいて、その取締役の在任期間を存続期間とし、その部長職のための労務の給付を目的とする雇用契約が被告との間に成立し、これによって被告の従業員たる地位に就いたといわなければならない。
 原告X1およびX2はおそくとも昭和四三年一二月二〇日にその取締役を終任したとみるべきであるから、これによって原告X1が被告の経理部長職にある雇用関係ならびに原告X2が被告の整備部長職にある雇用関係はいずれも終了したといわなければならない。