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ID番号 00176
事件名 採用内定取消処分取消等請求事件
いわゆる事件名 東京都事件
争点
事案概要  地方公務員としての採用内定を受けたが後にこれを取消された上告人が知事を相手に採用内定取消処分の取消を求める請求を、又、都を相手に職員たる地位を有することの確認を求める請求をした事例。(上告棄却)
参照法条 地方公務員法22条
行政事件訴訟法3条2項
体系項目 労働契約(民事) / 採用内定 / 公務員
裁判年月日 1982年5月27日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (行ツ) 114 
裁判結果 棄却
出典 民集36巻5号777頁/時報1046号23頁/タイムズ473号118頁/労経速報1121号19頁/裁判所時報840号1頁/金融商事655号45頁/裁判集民136号9頁
審級関係 控訴審/東京高/昭51. 9.30/昭和49年(行コ)73号
評釈論文 奥山明良・ジュリスト787号101頁/笠井邦彦・地方公務員月報232号65頁/後藤清・労働判例388号4頁/山本吉人・ジュリスト773号55頁/小早川光郎・ジュリスト773号60頁/小早川光郎・公務員判例百選〔別冊ジュリスト88号〕18頁/田中舘照橘・昭和57年度重要判例解説〔ジュリスト792号〕49頁/都築弘・法律のひろば35巻9号37頁/南川諦弘・民商法雑誌88巻6号848頁/麻田正勝・昭和57年行政関係判例解説191頁/矢崎秀一・ジュリスト773号87頁/矢崎秀一・季刊実務民事法1号210頁/林修三
判決理由  以上の事実関係によれば、本件採用内定の通知は、単に採用発令の手続を支障なく行うための準備手続としてされる事実上の行為にすぎず、被上告人東京都と上告人との間で、上告人を東京都職員(地方公務員)として採用し、東京都職員としての地位を取得させることを目的とする確定的な意思表示ないしは始期付又は条件付採用行為と目すべきものではなく、したがって、右採用内定通知によっては、上告人が、直ちに又は昭和四六年四月一日から被上告人東京都の職員たる地位を取得するものではなく、また、被上告人東京都知事において上告人を職員として採用すべき法律上の義務を負うものでもないと解するのが相当である。そうすると、被上告人東京都において正当な理由がなく右採用内定を取り消しても、これによって、右内定通知を信頼し、東京都職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなど、東京都に就職するための準備を行った者に対し損害賠償の責任を負うことがあるのは格別、右採用内定の取消し自体は、採用内定を受けた者の法律上の地位ないし権利関係に影響を及ぼすものではないから、行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するものということができず、右採用内定者においてその取消しを訴求することはできないというべきである。