全 情 報

ID番号 00309
事件名 配置転換処分取消等、勤務条件に関する措置要求に対する判定取消、損害賠償等各請求事件
いわゆる事件名 江戸川保健所事件
争点
事案概要  区長がなした配転につき、その取消を求めた事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
裁判年月日 1981年9月28日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (行ウ) 18 
昭和53年 (行ウ) 30 
昭和56年 (ワ) 2026 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報1019号121頁/労経速報1103号35頁
審級関係
評釈論文 伊藤惠造・地方公務員月報227号42頁
判決理由  原告の特異な性格、言動に基因して、江戸川保健所内の原告を取りまく人間関係は極めて険悪な状況になっていたものであり、そのため、特にX線室における業務は通常の職場で期待しうるような円滑さを著しく欠き、原告と栄養士、保健婦等他の職種の者との協調関係も破壊され、さらには原告が所長をはじめとする管理者のもとにしばしば出入し、抗議等の行動をするため、管理業務にも支障をきたしていたことが窺われ、また、原告は、放射線技師として技量が極めて拙劣であり、殆ど考えられないようなミスを繰り返し、レントゲン撮影に際し、被撮影者である住民の健康を侵害する危険性が高かったことが認められるのであり、さらに原告自身もA、D両技師と隔離されることを強く望むに至っていたことを勘案すると、本件配転の理由には合理性があり、その必要性は極めて大きいものであったといえる。
 次に、異動先の選定について考えるに、原告は前記の如く、技術の拙劣さにより住民の健康を侵害する危険性があったことから、レントゲン撮影の実務を担当させるのは適当ではないが、一方では原告は放射線技師であるため、その職務と無関係な一般の事務的職務を行わせることもできなかったものであり、かようなことを考えると、江戸川区内の保健所を統括する本庁組織として設けられた管理課(そこで原告に予定された職務は前記のとおりである。)が原告の異動先として考えうる唯一の職場であったといえる。
 (中 略)
 放射線技師の採用において、その職務内容が放射線照射業務のみに限定されているとは解し難く、行政上の合理的な理由ないし必要性がある場合、放射線照射以外の職務であっても、放射線技師としての専門的知識、経験を生かしうる職務内容であれば、放射線技師にかような職務を担当させることも当然許容されるものと解される。