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ID番号 00408
事件名 解雇無効確認ならびに家屋明渡等請求控訴事件
いわゆる事件名 杵島炭坑事件
争点
事案概要  レッドパージにより解雇された者が解雇無効確認を請求した事件の控訴審。(控訴棄却、労働者敗訴)
 なお会社側は家屋明渡請求を反訴として提起。(請求認容)
参照法条 労働基準法2章
体系項目 退職 / 合意解約
裁判年月日 1960年9月28日
裁判所名 福岡高
裁判形式 判決
事件番号 昭和28年 (ネ) 734 
昭和33年 (ネ) 254 
裁判結果
出典 労働民例集11巻5号992頁
審級関係
評釈論文
判決理由  被控訴人が昭和二五年一〇月一六日内容証明郵便をもって、同控訴人に対し、同月一九日までに退職願を提出して退職することを勧告し、退職願を同日までに提出した場合は被控訴人主張のような金員(右七三四号事件の被控訴人の主張四の(一)参照)を支給するが、同日までに退職しないときは、本通告をもって即時解雇の通告とし、この場合は、解雇予告手当と退職金とのみを支給し、特別加給金は支給しない。なお右の各金員は、A会社経理課において同月二〇日一五時までに受け取るよう附記して解除条件付解雇の意思表示をなしたが、同控訴人は所定の期限内に退職願を提出せず、また金員を受領しなかったので、被控訴人は同月二一日佐賀地方法務局武雄支局に解雇予告手当金九、八八七円四〇銭を弁済のため供託したところ、同控訴人は同年一一月三日退職願を提出した上、被控訴人から退職金九五、一五八円七九銭と特別加給金五、九三二円四四銭計一〇一、〇九一円二三銭を経理課において受け取り、同月六日供託局から供託された予告手当金の還付を受けたことは、当事者間に争がない。この争のない事実及び成立に争のない右七三四号事件の甲第一七号証から第一九号証まで並びに原審証人Bの証言、当事者弁論の全趣旨を合わせ考えると、昭和二五年一一月初め頃控訴人所属の労働組合の斡旋により被控訴人は暗黙のうちに解雇の通告を撤回して、同月三日控訴人の退職の申込を承諾して、ここに合意による退職が成立し、前示退職金、特別加給金を受領し、異議をとどめずして、無条件に解雇予告手当の供託金を受領していることが認められるので、同控訴人との被控訴人との労働契約関係は消滅したことが明らかである。