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ID番号 00428
事件名 行政処分取消等請求控訴事件
いわゆる事件名 静内郵便局事件
争点
事案概要  労働協約、就業規則に基づく郵便局長の超過勤務の命令について義務なしとして従わなかった郵政職員に対してなされた懲戒処分の効力が争われた事例。
参照法条 人事院規則15-1(職員の勤務時間等の基準)10条
国家公務員法98条
体系項目 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 時間外・休日労働の義務
裁判年月日 1979年1月31日
裁判所名 札幌高
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (行コ) 2 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集30巻1号81頁/時報925号114頁/タイムズ388号134頁/労働判例316号63頁/訟務月報25巻5号1385頁
審級関係 一審/01225/札幌地/昭50. 2.25/昭和44年(行ウ)3号
評釈論文 遠藤きみ・公企労研究39号98頁/岩村正彦・ジュリスト719号130頁/上野至・昭和54年行政関係判例解説103頁
判決理由  非現業国家公務員の場合は、人事院規則一五―一第一〇条により「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」に限って、超過勤務を命ずることができるとしているので、右超過勤務については職員の同意を要せず、右要件が備わっているかぎり、各所属庁の長が一方的にこれを命じ得るものであることは明白である。
 そして、本件控訴人らのような現業国家公務員の場合も、「国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法」第六条は、主務大臣又は政令の定めるところによりその委任を受けた者が当該企業に勤務する職員の勤務時間等について規程を定める旨規定しており、このように勤務時間等については主務大臣等が一方的に定めるという建前は非現業国家公務員の場合と全く異なるところがない。右規定に基づき郵政省の郵政事業職員勤務時間、休憩、休日および休暇規程第四〇条、第四一条は、所属長は職員に対し一定の場合に時間外勤務を命ずることができる旨を定めている。そして、右命令は国家公務員法第九八条に定める職務上の命令というべきであるから、この命令を受けた本件控訴人らのような現業国家公務員も、命令が右規程に基づくものであり、かつ、後記協約の制約に従うものである限りこれを拒否することはできない。