全 情 報

ID番号 00590
事件名 雇用契約存在確認請求控訴事件
いわゆる事件名 駐留軍池子火薬廠田奈支廠事件
争点
事案概要  爆薬積載貨車の停止をまたないでその扉を開けた行為が爆薬取扱工としての適格性を欠くとしてなされた解雇につき、被解雇者が雇用契約確認の請求をしたところ認容されたため国が控訴していた事例。(控訴認容)
参照法条 労働基準法20条1項
体系項目 解雇(民事) / 解雇予告と除外認定 / 労働者の責に帰すべき事由
裁判年月日 1960年4月8日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和31年 (ネ) 2621 
裁判結果
出典 労働民例集11巻2号303頁/東高民時報11巻4号131頁/訟務月報6巻6号1153頁
審級関係
評釈論文 萩沢清彦・ジュリスト238号62頁/労働判例百選〔ジュリスト252号の2〕52頁
判決理由  〔解雇―解雇予告と除外認定―労働者の責に帰すべき事由〕
 被控訴人は、右のような解雇事由は安全及び制裁に関する事項であるから、就業規則又はこれに準ずるなんらかの規則に定め、かつこれを周知させる必要があるにかかわらず、本件解雇事由についてはその措置が執られていないから、右解雇は無効であると主張するけれども、労働者の責に帰すべき事由があるときは、就業規則又はこれに準ずべき安全規則等に定めて周知させた解雇基準に該当すると否とを問わず、即時解雇をなし得べきこと労働基準法第二十条第一項但書の規定により明らかであるから、右主張は採用できない。
 〔解雇―解雇予告と除外認定―労働者の責に帰すべき事由〕
 控訴人は、被控訴人の右開扉当時の貨車の速度は時速五哩であった旨、被控訴人は貨車の側壁に飛び乗ってその体勢で開扉した旨及び落下した爆薬は一箱ではなくて二箱であった旨主張し、これらの事実はいずれも当裁判所の認めないところであるけれども、前認定に係る被控訴人の爆薬取扱に関する行為は、それだけで被控訴人が爆薬取扱工として不適格であることを露わしたものであり、火薬廠内において引続き被控訴人を労務に服させることは重大な危険を伴うものであることを示すものであるから、被控訴人の右行為は、労働基準法第二十条第一項但書後段の即時解雇事由に該当するものというべきことができる。