全 情 報

ID番号 00677
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 土藤生コンクリート事件
争点
事案概要  組合を脱退し別組合に加入した従業員が、組合により除籍処分に付され、ユニオンショップ協定に基づき解雇されたのに対し、ユニオンショップ協定の効力は別組合の組合員には及ばないから右解雇は無効である等として雇用契約上の従業員たる地位の確認等求めた事例。(一部認容)
参照法条 労働基準法1条3項
体系項目 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇
裁判年月日 1984年2月27日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ワ) 543 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例427号44頁/労経速報1195号15頁
審級関係
評釈論文
判決理由  ユ・シ協定は、労働者が労働組合の組合員たる資格を取得せず又はこれを失った場合に、使用者として当該労働者との雇用関係を終了させることにより間接的に労働組合の組織の拡大強化をはかろうとする制度であり、このような制度としての正当な機能を果たすものと認められるかぎりにおいて、憲法二八条が労働組合の団結権を保障している趣旨に副うものとしてその効力を承認することができるものであるところ、一方、同条は、団結権の保護に値する自主性を有する労働組合に対しては、組合員数の多数、少数を問わず平等に団結権を保障し、ある組合の団結権に他の組合の団結権に優越する地位を認めることを許していないのみならず、個々の労働者の労働組合を選択する自由をも保障していると解されるから、ユ・シ協定締結組合の組合員が脱退し、あるいは除名された後同条で保障する団結権の保護に値する自主性のある組合に加入した場合には、たとえユ・シ協定締結組合が従業員の過半数を占める多数組合であったとしても、右ユ・シ協定は、特段の事情がない限り右脱退者や被除名者に対してはその効力を及ぼさないと解すべきである。
 (中 略)
 そうすると、本件において、原告は、本件解雇前の昭和五七年五月一一日に全化同盟に加入したこと前記のとおりであるから、本件ユ・シ協定の効力は原告に及ばないものというべきである。