全 情 報

ID番号 00735
事件名 雇用関係存在確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 日本青年会議所事件
争点
事案概要  就業規則所定の「執務能力が著しく不良」という解雇事由に該当するとして解雇された原告が、右解雇を無効と主張し、雇用関係の存在確認と賃金支払を求めた事例。(一審 棄却、控訴棄却)
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
裁判年月日 1967年1月24日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和40年 (ネ) 1041 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集18巻1号1頁/時報476号56頁
審級関係 一審/05411/東京地/昭40. 4.28/昭和39年(ワ)2159号
評釈論文
判決理由  被控訴人事務局のような小人数で職員相互のチームワークを必要とする職場においては、一般の工場労働者などとは趣を異にし、職員各自の個性が問題となり、相互に人格が尊重され、偏狭の行為が排斥されなければならない(就業規則一〇条二号、三号参照)のであるから、当該職場という社会に適応する能力を有しない者は、その職場の事務を遂行する上に妨げとなるものとして、これを排斥する手段が講ぜられることは、異とするに足りないところである。右規則三二条において、執務成績不良といわず、特に執務能力不良という文言が用いられたのは、まさに、右のような場合を考慮に入れた上でのことと察せられる。したがって、ここにいう執務能力不良とは、職場に適応する能力に欠ける場合を包含するものと解するのが相当である。
 (中 略)
 控訴人は社会生活をしてゆく人間として常識に欠けるところが多く、協調性に乏しく、強暴であることが認められる。これらの事実を通観し、右控訴人の性格を合わせて検討すると、控訴人は被控訴人の職場に適応する能力を著しく欠いており、かつ将来の見込がないものといえるから、前記理事会の判断は、結局相当であるといわなければならない。
 (中 略)
 してみれば、本件解雇が就業規則の適用を誤ったものとする控訴人の主張は採用のかぎりではない。