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ID番号 00962
事件名 給与支払請求控訴事件
いわゆる事件名 高知県教職員組合事件
争点
事案概要  ストライキにともなう当日の過払賃金の控除が労働基準法二四条の全額払の原則に違反するか否かが争われた事例。(消極)
参照法条 労働基準法24条1項
民法510条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整
裁判年月日 1964年4月16日
裁判所名 高松高
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (ネ) 114 
裁判結果
出典 高裁民集17巻2号162頁/行裁例集15巻4号680頁/時報381号13頁/タイムズ163号95頁/教職員人事関係裁判例集3号231頁/訟務月報10巻7号1043頁
審級関係 一審/04620/高知地/昭38. 4. 1/昭和35年(行)14号
評釈論文
判決理由  しかし、さらに同法第二四条第一項が但書の場合を除く外本件のごとき相殺をも絶対的に禁止するものであろうか。もとより同法の立法趣旨および但書の例外規定を設けた趣旨に照らし、同条項を厳格に適用すべきは当然であるが、本件の場合のように一〇月分の過払賃金の返還請求債権をもって一一月又は一二月の賃金債権と相殺するのは、過払分をその翌月以降の賃金に充当するという賃金相互間の調整ないし清算あるいは後の支払期における給与額の計算方法としての意味を有し、したがってその差引かれた時点に立ってみればそれまでの賃金全額が支払われて結果において全額払いの要件が充たされることになり、同じく相殺であっても賃金とは無関係な他の債権をもってする相殺するとは異なる。このような給与額そのものの適正な支払の手段たる相殺であって上記のように給与の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてなされ、かつ相殺額にして労働者の経済生活をおびやかす結果となる虞がない場合(なおその額については民法第五一〇条、民事訴訟法第六一八条第二項の制限に服するものと解される)は、前記立法趣旨からこれを禁止すべき理由はない。本件において、相殺額は別表請求金額欄記載のとおりでそれは昭和三四年一〇月五日の一日分の給与に相当する額であること、相殺の時期も同年一一月ないし、一二月であるから、被控訴人の本件相殺は上記制限内のもので労働基準法第二四条第一項に違反しない適法なものというべきである。なお本件相殺の意思表示は控訴人等が同年一一月六日の給与ないし同年一二月二〇日の期末勤勉手当を受領した際にそれぞれ控訴人等に到達したものと認めることができる。