全 情 報

ID番号 01094
事件名 退職金等請求事件
いわゆる事件名 阪急電鉄事件
争点
事案概要  音楽学校を退職した非常勤講師が、その職務内容等は正職員に比し全く差がないのに、その給与、退職金には不当な差が設けられており、右差別取扱いは憲法一四条、労働基準法三条等に違反する不法行為にあたるとして、給与、退職金に関し正職員との差額相当の損害賠償金の支払を求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法3条,89条1項3号の2
民法709条
日本国憲法14条
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
裁判年月日 1983年4月14日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (ワ) 5990 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1165号17頁
審級関係
評釈論文
判決理由  原告の勤務の内容は、A音楽学校の非常勤講師として、一週間に二回、一回二時間、A音楽学校で、その生徒にタップダンスの指導を行なうことの外、若干の右学校の雑務をしていたにすぎなかったこと、そして、原告がA音楽学校に出勤する日以外の日は、自宅において塾を開くことも、タップダンス以外の仕事に就くことも禁じられていなかったこと、そして現に原告は、その自宅で、タップダンスの個人指導をしていた外、大阪梅田のB学園において、タップダンスの教室を開いて収入を得ていたこと、以上の事実が認められる。
 そして、右の如きA音楽学校における原告の勤務内容に照らしてみれば、原告が受領していた原告主張の給与額が不当に低額であるとは一概に断定し難いばかりでなく、もともと原告の如き非常勤講師の給与額及び退職金は、原告の資質、勤務態度その他の勤務成績等を勘案し、使用者との折衝の上その合意によって定められるべきものであって、原告が当然にその主張の如き給与の差額及び退職金を受給し得る関係にはないというべきであるから、他に特段の主張立証のない本件においては、A音楽学校が原告にその主張の如き給与を支払っていたことや退職金を支払わないことが、他の者とくらべ、原告を違法不当に差別して取扱ったもので、不法行為を構成するものとは到底認め難いのである。