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ID番号 01246
事件名 判定取消請求事件
いわゆる事件名 静岡県人事委員会事件
争点
事案概要  教育委員会は原告が応諾し且つ労基法四一条三項の許可がある場合にのみ原告に宿日直勤務を命じうるとする措置等を被告県人事委員会に要求したところ、この要求が棄却されたためその判定の取消を求めた事例。(請求一部認容。ただし宿日直手当の額の一部について。)
参照法条 労働基準法37条,41条
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 監視・断続労働
労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 宿日直
裁判年月日 1965年4月20日
裁判所名 静岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (行) 2 
裁判結果 (控訴)
出典 行裁例集16巻5号920頁/教職員人事関係裁判例集5号168頁
審級関係 控訴審/東京高/昭42. 9.29/昭和40年(行コ)234号
評釈論文
判決理由  〔労働時間―労働時間・休憩・休日の適用除外―監視・断続労働〕
 右宿日直勤務はその性格において、原告の本務に附随するものではあるが、その態様においては概念規定においてのみならずその実態においても本務の延長でもなくまた変形でもなくこれとは別個の労働である。他方行政官庁の許可は関係規定の適用除外を容れるに足る程度の労働密度であるか否かを使用者の主観によらず客観的に確認選定することを目的としている。従って右許可なくしてすでに行われた業務が事実上その許可に値する労働内容をもつものであるときは、その違法性とはかゝわりなく、右労働に対する対価としては、時間外または休日労働の割増賃金支払義務は発生しないものと解することができる。
 〔労働時間―労働時間・休憩・休日の適用除外―宿日直〕
 従って教諭は学校所属職員として校長の監督の下に右の意味における校務を分掌すべく、特別権力関係に服する公務員に対する職務命令によって命ぜられる宿日直勤務についても、それが学校営造物の物的管理上必要であると認められる限り、格別の法令の規定をまたず、自己の附随的職務としてこれに従事する義務があるものと考えられる。
 (中 略)
 ところで職員の給与に関する規則第二九条第一項に定められている宿日直勤務は児童生徒の教育を掌ることを本務とする教員によってその本務の傍ら右教育の直接の用に供される物的設備の管理保全を目的として行なわれるものであるから、それは、学校営造物の管理運営上教育活動の外的条件を整備するに必要なものとして教員の附随的な職務たりうるものであると同時に本務の遂行に支障を及ぼさない限度にとどまるものでなければならない。換言すれば、宿日直勤務は、かような限度において教諭の職務に含まれるものであり、かような範囲内において校長の職務命令により教諭がその校務分掌をなすべき義務を負うべきものである。
 (中 略)
 規則第二三条は宿日直勤務のうちでも右のような比較的軽易な労働内容をもつ断続的業務について法第四一条第三号の適用のあることを示したものであり、このように限定された趣旨において規則第二三条は法第四一条第三号にもとづくその解釈規定であると解される。