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ID番号 01253
事件名 時間外手当同附加金請求事件
いわゆる事件名 東京都荒川区立中学校事件
争点
事案概要  校長の指示により職員会議に出席した公立学校の教職員らが、右職員会議への出席は時間外勤務にあたるとして時間外勤務手当と附加金を請求した事例。(請求認容)
参照法条 労働基準法37条,114条
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間の概念 / 教職員の勤務時間
雑則(民事) / 附加金
裁判年月日 1969年8月6日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和36年 (行) 116 
裁判結果
出典 タイムズ238号183頁/教職員人事関係裁判例集6号229頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間―労働時間の概念―教職員の勤務時間〕
 日暮里中学校において行われている職員会議は終局的には校長の掌握のもとに開かれており、その機能の点からみると、同校の運営ひいては生徒に対する教育を円滑かつ効果的に進めるために校務を掌理する学校長を補佐し、或いはこれに協力するためのもので、現実には学校運営のための重要な機関としての作用を有しているものとみるのが相当であり、又学校長も職員会議の有するこのような機能を重視して教員に出席を促し、自らもこれに出席して各教員の意見を聞き、これらの会議の結果を一助として学校の運営をはかっていたものと認められる。従って教員がこの職員会議に出席しなくては自己の職務の遂行上支障を生ずるのであるから、職員会議に参画することは教員の職務の一部に属するものというべく、その意味から同会議が法規にもとづいて設置されたものではなく、更には校長が会議の都度明示の命令をもって各教員を出席させたのではなくても、少なくともその出席は黙示の命令にもとづくものとみるのが相当である。
 (中 略)
 以上のとおりとすれば、所定の勤務時間終了後職員会議のために居残った時間数は先に認定したとおりであるが、この時間の勤務については時間外勤務手当の対象となると結論せざるをえない。
〔雑則―附加金〕
 附加金は裁判所がその支払を命ずることによってはじめて発生するものではなく、労働者は労働契約から生ずる請求権の一つとして附加金の請求権を有するものというべきところ、同法第一一四条の立法趣旨は、割増賃金等の不払があって、労働者がその支払を求めるため訴訟を提起せざるをえなくなった場合、使用者に対してこれと同額の民事罰を課することによって、使用者にこれらの支払債務を訴訟提起前に履行させ、併せてこれらの支払の遅滞をこうむった労働者の保護をも図ることにあるとするのが最も合理的であると考えられるから、附加金の請求においては訴訟提起による請求のとき(具体的には訴状送達の日の翌日)から遅滞におちいると解するのが相当である。
 とすれば被告に対する本件訴状送達の日の翌日が昭和三六年一一月六日であることは記録上明らかであるから、被告は原告らに対し原告らの求める附加金とこれに対する前同日以降民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。