全 情 報

ID番号 01326
事件名 懲戒処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 東洋鋼鈑事件
争点
事案概要  労働組合の休日労働協定と就業規則とに基づく休日労働命令を拒絶したことを理由に減給処分に付された労働者が、休日労働命令は労働者各個の同意なしには就労義務を生ぜしめない等として、右懲戒処分の無効確認を求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法89条,93条
労働組合法16条
体系項目 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 時間外・休日労働の義務
労働時間(民事) / 法内残業 / 残業義務
裁判年月日 1969年8月27日
裁判所名 山口地徳山支
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (ワ) 1 
裁判結果
出典 労経速報688号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由  原告は仮に休日労働協定があったとしても、被告からの休日労働の申入は個々の労働者の同意がなければ就労義務の発生を見ないものである旨主張する。しかしながらおよそ或る事業場の就業規則は、労働基準法第八九条、第九三条の規定からみて、より有利な内容の特別の労働契約が無い限り、それ自体労働契約の内容をなすものと解される。本件の場合前記乙第一号証によると、被告会社下松工場就業規則第二四条第一項には、会社は従業員に休日に出勤させ得る旨定めてあることが認められる。それ故被告会社は従業員に休日出勤を命ずる場合必ずしも個々の労働者の同意を必要としないものと言わなければならない。なお労働組合法第一六条によれば、労働基準につき労働契約に定めがない場合には労働協約の規定が適用される旨定められているから、本件の場合成立に争いのない乙第二号証によって認められる労働協約第三二条の規定によっても、同様の結論が導かれるであろう。
 (中 略)
 本件の如く労働者が使用者の業務命令を、独自の判断から一方的に拒否することは、その事自体労働契約の本旨に反するものであるし、又ひいては一つの協同体である企業の職場の秩序を乱す虞れのある身勝手な行為であると言わなければならない。それ故本件で問題となった原告の行為は、就業規則第七四条第三号に当るものと言うべく、かつ一日の三分の一の減給に止めた被告の処分もまた適切であって、本件懲戒処分は決して重すぎるということもできない。