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ID番号 01364
事件名 懲戒処分取消等請求控訴事件
いわゆる事件名 電々公社福島局事件
争点
事案概要  沖縄返還反対集会に参加し逮捕、勾留された電々公社職員が、勾留の終了時まで年休を請求する休暇届を同僚を通じて上司に提出したところ、右年休の時季指定は無効であるとして、右提出日以降を無断欠勤とされ、これを理由に停職処分に付されたのに対し、右処分の取消等求めた事件の控訴審。(控訴棄却、労働者敗訴、原判決引用)
参照法条 労働基準法39条4項,89条1項9号
体系項目 年休(民事) / 時季指定権 / 指定の方法
休職 / 起訴休職 / 休職制度の合理性
裁判年月日 1984年7月18日
裁判所名 仙台高
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (行コ) 4 
裁判結果 棄却
出典 労働判例437号30頁
審級関係 一審/01359/福島地/昭54. 6.25/昭和47年(行ウ)8号
評釈論文
判決理由  〔年休―時季指定権―指定の方法〕
 本人の意思決定に基づき、これを他の者が使用者に伝達するという方法により時季指定の意思表示をなすことはさまたげないものと解される。」
 (中 略)
 「控訴人のために年休の時季指定をなしたのは、控訴人の決定した年休の時季指定に基づき、これを使用者に伝達したものとみることができるから、これにより控訴人は同月二四日の一日を年休の時季に指定する旨の意思表示をしたものというべきである。
 〔休職―起訴休職―休職制度の合理性〕
 控訴人は、被控訴人の就業規則に定める刑事休職制度の趣旨に照らし、起訴にも至らない段階における身柄拘束のため欠勤した場合は、就業規則第五条にいうみだりに欠勤した場合に該らないと主張する。しかし、就業規則第五条、第五九条の趣旨は、事由の如何を問わず無断欠勤をすることによって職場の秩序を乱した職員に対し懲戒処分をすることができる旨を定めたものであって、刑事々件で起訴された職員を一時職務から離脱せしめることを目的とする刑事休職制度とはその趣旨目的を異にするうえ、刑事々件で起訴されたことが懲戒事由とされないのは、その犯罪の成否が未確定であることによるものではなく、起訴されたこと自体には格別非違行為性がないためと考えられることからすれば、起訴前の身柄拘束のために欠勤した者について、その犯罪の成否が未定であることを理由に懲戒の対象から除外すべきものと解する余地はなく、この点に関する控訴人の主張は採用できない。