全 情 報

ID番号 01694
事件名 仮処分控訴事件
いわゆる事件名 日本化薬事件
争点
事案概要  火薬工場の争議行為に際して違法不当な行為があったとして懲戒解雇された者が地位保全の仮処分を申請し認められたため、会社が抗訴した事例。(抗訴棄却)
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界
裁判年月日 1959年5月30日
裁判所名 広島高
裁判形式 判決
事件番号 昭和30年 (ネ) 233 
裁判結果
出典 労働民例集10巻3号531頁
審級関係
評釈論文 月刊労働問題16号82頁/労働経済旬報428号22頁
判決理由  就業規則は、使用者が一方的に定め得るものであるが、一旦客観的に定立せられた以上一つの法的規範として使用者及び従業員双方を拘束し、使用者が就業規則を適用して懲戒処分をなす場合懲戒事由存否の認定、情状の判定、処分の量定等はその自由裁量に委さるべきではなく、使用者は客観的に妥当な適用をなすべき義務を負うものというべきである。殊に、本来懲戒解雇は譴責や出勤停止と異り従業員を企業から排除しその者に精神的、社会的、経済的に重大な不利益を与える処分であるから、従業員に就業規則所定の懲戒解雇事由に該当する事実があり、しかも参酌すべき情状のない場合に限られ、右の場合でないのに懲戒解雇をなしたときは当該懲戒解雇は就業規則の適用について重大な誤りをおかしたもので無効といわねばならない。