全 情 報

ID番号 01914
事件名 雇用関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 山武ハネウェル事件
争点
事案概要  会社製品の損壊行為、上司への反抗行為等を理由に懲戒解雇された従業員が、右懲戒解雇は懲戒権の濫用に当り無効である等として雇用関係の存在確認等求めた事例。(請求棄却)
参照法条 労働基準法89条1項9号
民法1条3項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
裁判年月日 1984年3月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ワ) 255 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1182号17頁/労働判例429号48頁
審級関係
評釈論文
判決理由  右の事実によれば、原告のなした前記二記載の上司に対する反抗、職場秩序破壊行為は、就業規則五六条六号(会社の業務に協力せず業務の遂行を妨げたとき)、八号(上司の命令に不当に反抗したとき)に、メーター損壊行為は、同条七号(故意または重大な過失により会社に損害を与えたとき)に該当し、被告会社の原告に対する本件懲戒解雇が、就業規則該当事由がないのになされたものであるとか、懲戒解雇を相当とするような事由がないのになされた権利の濫用にわたるものであると認めることはできないものである。
 もっとも、前掲の各証拠によれば、原告が損壊したのは二台のセコニックメーターのプラスチックカバー部分だけで、右メーターの価額は一個金二二〇〇円位にすぎず、原告は入社以来本件処分までの二〇余年間、全く懲戒処分を受けたことがないことが認められ、これらの点からすると、原告に対し懲戒解雇処分をもって臨むのはいささか酷に失するかの如く思われないでもない。しかし、被告会社は、これまで原告を懲戒処分にはしなかったものの、原告に問題行動がある都度上司らが注意を与え、家族と連絡をとって対応策を協議するなど、何とか職場に適応させようと努力してきたものであること、それにもかかわらず、原告の上司に対する反抗、職場秩序破壊行為は長期間反覆継続され、しかもその内容は次第に悪質化しつつあったこと、原告の右行為による職場秩序の乱れ、士気の低下、作業妨害等は無視できない程度に達していたこと、原告の本件メーター損壊行為は、被告会社が相次ぐ製品損壊事件の再発防止にやっきになって取り組んでいる最中に、この間の事情を熟知しながら故意に敢行された事件で、会社に対する挑戦行為とも目すべきものであり、これによる企業秩序の乱れ、即ち、会社の被った損害は無視できないものがあったこと、しかも原告は、自己の行為につき反省の態度を示さず、再度の破壊行為さえしかねないような言動を示していたことは前記のとおりであり、これらの事情をも合わせ考えると、原告に対する本件懲戒解雇はまことにやむを得ない措置というほかなく、右処分が権利の濫用であると認めることはできない。