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ID番号 03014
事件名 賃金支払請求事件
いわゆる事件名 駒姫交通事件
争点
事案概要  昼間日勤者に対しても支給されている「深夜手当」という名称の手当は、労基法三七条にいう深夜割増賃金とはいえないとされた事例。
 深夜割増賃金の不払いにつき附加金の支払が命ぜられた事例。
参照法条 労働基準法37条
労働基準法114条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定基礎・各種手当
雑則(民事) / 附加金
裁判年月日 1987年2月13日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (ワ) 1463 
裁判結果 一部認容
出典 時報1248号133頁/タイムズ646号129頁/労働判例496号77頁/労経速報1297号20頁
審級関係 控訴審/04069/大阪高/昭63.12.22/昭和62年(ネ)337号
評釈論文 羽柴修、田中秀雄・労働法律旬報1175号45~46頁1987年9月10日
判決理由 〔賃金-割増賃金-割増賃金の算定基礎・各種手当〕
 5 他に、本件全証拠を精査してみても、前記2のとおり通常の賃金に含まれていた夜間日勤者及び隔日勤務者の「深夜手当」につき、その後通常の賃金から外れて真実の深夜割増賃金に変更されるというような事由が生じたと認めるに足りる証拠はない。
 なお、昼間日勤者につき、給料明細書のうえで、昭和五七年六月分から、「深夜手当」が「昼勤手当」という名目に変更されたことは前記のとおりであるが、これは、《証拠略》によれば、その直前頃、原告らが労働基準監督署に本件の不当性を訴えたところ、同署が被告に対して給料明細書に「深夜手当」としているのはおかしいと指摘したためであると認められる。
 三 以上によれば、被告は、原告らそれぞれに対し、本件期間中の後記認定の深夜労働について、深夜割増賃金を全く支払っていないというべきである(問題の「深夜手当」以外に深夜割増賃金を支払ったとの主張、立証は全くない。)し、原告らの場合の法定(労働基準法三七条、同法施行規則一九条)の深夜割増賃金の一時間当りの単価は、請求原因4(二)のとおりにして算出されることになる。
〔雑則-附加金〕
 七 以上によれば、被告は、原告らそれぞれに対し、別紙認容額一覧表の「未払賃金」欄記載の深夜割増賃金を支払うべき義務があるといえる。
 そして、当裁判所としては、労働基準法一一四条に従い、被告が、原告らそれぞれに対し、右「未払賃金」額と同一額の右表「附加金」欄記載の附加金を支払うよう命ずることとする。