全 情 報

ID番号 03046
事件名 給料等請求事件
いわゆる事件名 国華産業事件
争点
事案概要  甲板手として雇用されていた労働者が職務能力、職務態度を理由として解雇されたケースでその効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 1987年4月28日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 7529 
裁判結果 棄却
出典 労働判例508号63頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 船舶は、陸地を離れ、国等の監督、保護を受けがたい孤立性を有するとともに、自然の脅威の下にさらされる危険性(特に本件での積み荷には、爆発性の高い物質も存在している。)を持つものであり、またそこでは、船員等による一つの生活共同体が形成されている。したがってこのような船舶に乗船する船員にあっては、在船者の生命、船内貨物等の財貨等を保護するため、航海中、秩序ある共同体を形成することが求められているものである。
 ところで原告は、前記のとおり、船長等上司の指示に従わず(時には明白に反抗し)、同僚との協調性も欠き、右共同体形成の努力を放棄しているのみならず、乗船している船舶の位置確認等、船員であるための基礎能力も欠き、しかもその状態は、昭和四四年以降長期にわたり継続していたもので、この間改善の兆候は全く認められず、かえって自己の降格等を不満として、関係者に対し脅迫行為にまで及んでいたものであり、このような原告は、被告船員就業規則、労働協約に定める「著しく職務不適任」なものと解するのが相当であり、したがって本件解雇は正当なものである。