全 情 報

ID番号 03077
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 日本テレビ放送網事件
争点
事案概要  配転先での勤務を不服としてそこでの職務に従事しなかった労働者に対する解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 1987年7月31日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (ワ) 6287 
裁判結果 棄却
出典 労働判例503号45頁/労経速報1303号11頁
審級関係
評釈論文 林豊・昭和62年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊677〕398~399頁1988年12月
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 右二認定の事実によれば、原告は、資料室勤務を命ぜられて以降、【1】所属長に無断で欠勤・早退・遅刻・離席を繰り返し、特に資料室では当初の一時期を除き、昭和四六年九月以降の約一年間ほとんど勤務しなかったこと、【2】出勤表は本来の設置場所である資料室で毎日記載すること、また、欠勤等の際は直属の上司であるA専門部長に直接連絡することなどの上司の指示・命令に従わなかったこと、【3】上司により命ぜられた業務をほとんど履行しなかったこと、【4】この間再三にわたり注意・警告を受けても反省するどころか一切無視して改めず、かえって反抗し、悪態を尽くしたうえ、業務命令書を交付した上司の面前でこれを八つ裂きにして上司の頭上に振りかけるに及んだこと、そして、【5】以上のような言動は、時が経過するに従い一層顕著となっていったのであり、その間被告が原告の反省とこれによる勤務態度の改善を期待して行った出勤停止処分の内示・発令、業務指示者の変更、調査課勤務へ変更の示唆などの配慮にも全く応えなかったことが認められ、これらの事実は前記就業規則四三条三号に該当するということができる。
 そして、原告の一年有余にわたる資料室におけるこのような勤務態度からみて、原告には被告の従業員として、上司の指示、命令に従って誠実に労務を提供するという労働契約上の基本的債務を履行する意志なしとの被告の判断は、客観的妥当性を有すると認められる。そうすると、本件解雇事由は存在するということができる。