全 情 報

ID番号 03165
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 石川島播磨重工業事件
争点
事案概要  企業外におけるイデオロギー上の集団暴行事件に参加し兇器準備集合、公務執行妨害により逮捕、起訴され有罪判決を受けたこと等を理由とする懲戒解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務外非行
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 政治活動
裁判年月日 1983年9月27日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和54年 (ヨ) 946 
裁判結果 却下
出典 労経速報1168号16頁/労働判例420号67頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務外非行〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-政治活動〕
 申請人は、従業員の行為が外形的には就業規則七五条二二号に該当する場合でも、右行為により被申請人の対外的信用が特段に毀損されたとか、職場秩序の維特に重大な障害を惹起せしめたものでなければ、右行為を理由としては懲戒解雇は許されないと主張する。
 しかし、右就業規則に基づく懲戒解雇の場合において申請人の主張のように解すべきいわれはない。確かに犯罪行為はその性質、内容等多様であり、一概に従業員が刑罰法規に触れる行為をしたというだけで直ちに懲戒解雇ができると解するのは妥当ではないが、犯罪行為の性質、態様等からみて、右行為が被申請人の信用を傷つけもしくは職場秩序の維持のうえで悪影響を与えるものと客観的に評価ができるものについては、現実の効果としてそのような結果が未だ顕われていないときでも懲戒解雇が許されるものと解しなければならない。しかるところ、申請人がした本件犯罪行為(前示二の1及び2の行為)は、いわゆる破廉恥犯罪ではなく、その行為の根底には政治的信条が潜まっていることは容易に推察され得るのであるが、行為自体は反対派集団に対抗しもしくはこれを撃破するために多数の者らと共に兇器を所持して集合し取締りにあたった警察官に対し暴行を加えたというものであって、別異の評価が与えられて然るべき政治犯の範疇に属さないむしろ私的な目的、欲望を達するための犯罪と評価すべき反社会性の強い集団犯罪であり、客観的には社会の被申請人に対する信用を傷つけ企業内職場の秩序維持にも悪影響を与える行為であると認めることができる。
 しかも申請人は、昭和四三年以来五度に亘って不退去罪等の犯行をなし処罰は受けなかったものの逮捕勾留されるなどし、前記認定の2の犯行は1の犯行につき有罪判決が確定して僅か四か月後に敢行されたものであることから推すと、申請人の性格の偏りはかなり顕著で容易に改善される見込みはないものと認められるのであって、被申請人が申請人の前示勤務態度の不良性と相合して申請人を就業規則に則り懲戒解雇したことは誠にやむを得ない処置というべく、本件懲戒解雇には権利濫用と目すべき事由は何ら存しない。