全 情 報

ID番号 03226
事件名 損害賠償請求
いわゆる事件名 光工業製作所事件
争点
事案概要  主婦パートタイム労働者のプレス機による手指切断に関し、使用者の安全配慮義務違反が認められた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法8章
労働者災害補償保険法3章
民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1981年5月15日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ワ) 1698 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例365号39頁
審級関係
評釈論文 林和彦・労働判例374号7頁
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 3 ところで、被告は雇用契約に基づき原告を本件機械による作業に従事させていた以上、右作業から生ずる危険が原告に及ぼすことのないようにその安全を配慮する義務があり、具体的な義務として、本件機械がプレス機械であることから、少なくとも、本件機械に安全装置を取り付けると共に、その装置が常に正常に機能するよう整備しておく義務があるものというべきところ、前記認定の事実によれば、被告は、安全装置のうち、押しボタン式のものは取り付けてはいたものの、手払い式のものは、当初本件機械に取り付けられていたが、これが取り外されていたのに(いつ、だれが取り外したか不明であるが、原告が取り外したと認めるに足りる証拠は全くない。)、そのままの状態で放置して作業を継続させていたものであり、前記認定にかかる本件機械とその安全装置の構造、機能及び原告の作業型態からすれば、もし手払い式の安全装置が取り付けられていてこれが正常に機能していたならば、何らかの原因で作業員の予期に反して上型が下降してきたとしても、上型の下降に伴ってこれに連動する手払い棒が作動し、上型のスライドする危険限界内に挿入された手指を払いのけることができ、本件事故の発生する余地はなかったものと考えられるので、原告主張のその余の債務不履行の点につき検討するまでもなく、被告が前記安全配慮義務に違反したものであることが明らかである。