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ID番号 03314
事件名 懲戒処分取消請求事件
いわゆる事件名 北海道開発局事件
争点
事案概要  開発局におけるいわゆる出勤簿整理時間である午前八時三〇分から同九時頃までの職場集会は国公法九八条二項の禁止する争議行為であり、右を理由とする懲戒処分を有効とした事例。
 国家公務員に対する出勤簿整理時間は、勤務時間を変更し、あるいは当該時間の勤務を免除したものではなく、労務提供義務を負う時間であるとした事例。
参照法条 国家公務員法82条1号
国家公務員法98条2項
労働基準法32条
労働基準法89条1項9号
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間の概念 / 勤務時間(公務員)
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1979年10月9日
裁判所名 札幌地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (行ウ) 6 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 行裁例集30巻10号1659頁/時報964号119頁/訟務月報26巻1号114頁
審級関係 控訴審/札幌高/昭58. 3.15/昭和54年(行コ)9号
評釈論文 細谷芳郎・地方公務員月報199号55頁
判決理由 〔労働時間-労働時間の概念-勤務時間(公務員)〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 (四) ところで、右出勤簿整理時間の取扱いは、それ自体法令で定められた勤務開始時間を変更するものではなく、単に職員がその時間内に出勤して出勤簿に押印すれば、その者を勤務開始時間までに出勤したものとして取り扱い遅刻とはしないという消極的な効果が付与されているにすぎない。従って、職員は、出勤簿整理時間を他の目的のために自由に利用しうるものではなく、この時間内に出勤した職員は直ちにその職務に従事する義務があるのであり、北海道開発局当局もその者に対し、その職務に従事することを命じうるのである。更に、当局はその職員に対し午前八時三〇分までに出勤するよう指示することもできるものである(現に、これまでにも、そのような指示がなされたことはあった)。そうすると、北海道開発局職員が、当局の許可なくかつ当局の午前八時三〇分に出勤するようにとの指示にもかかわらず、午前八時三〇分以後に職場集会を開催しこれに参加することは、勤務時間内の行為として、国公法九八条二項等に違反することになりうるといわざるをえない。