全 情 報

ID番号 03456
事件名 懲戒処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 向日町郵便局事件
争点
事案概要  郵政省就業規則によって定められた組合休暇について、郵便局が二日間の組休付与願を提出し、うち一日については業務上の支障を理由に不許可とされたにもかかわらず欠勤したことで戒告処分を受けたケースでその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1976年10月21日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和49年 (行コ) 12 
裁判結果 (上告)
出典 時報833号112頁/タイムズ346号231頁/訟務月報22巻10号2441頁
審級関係 上告審/00489/最高一小/昭52.10.13/昭和52年(行ツ)16号
評釈論文 松津節子・公企労研究29号92頁/郵政省人事局労働判例研究会・官公労働31巻2号46頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 組合休暇が、もつぱら、組合員たる職員が、組合の特定具体的な活動に参与すべき任務の遂行のために与えられるものであり、その時点で職員としての職務と組合員としての右の任務とが、二者択一の関係にあることに対する手当を講じたものであることから考えて、組合休暇を許可すべき場合に違法に不許可処分がなされたときには、上記就業規則の性格からみて、許可があつたときと同様、その職員は服務義務から免れると解すべきであり、このことは組合休暇が許可によつて与えられるとすることと矛盾するものではない。
 そうすると被控訴人が、上記認定の事情のもとに、本件不許可処分を受けたまま職務をはなれたことを職務上の義務違反というべきではなく、控訴人局長の上記出勤命令も、単に組合休暇不許可処分の裏返しにすぎず、別個独立の職務命令の意味をもたないことが明らかであるから、これに服しなかつたことも組合休暇不許可処分に従わずに職務をはなれたこと以上の意味を持たず、独立した職務命令違反の行為というに値しない。
 したがつて、本件戒告処分は、懲戒事由を欠き、違法として取消を免れないといわねばならない。