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ID番号 03476
事件名 戒告処分無効確認請求控訴事件
いわゆる事件名 国鉄浜田駅事件
争点
事案概要  駅構内の職員用ロッカーに国労作成のビラを貼ったことを理由として懲戒戒告処分に付された国鉄職員が右処分の効力を争った事例。
参照法条 日本国有鉄道法31条
労働組合法1条
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1975年4月9日
裁判所名 広島高松江支
裁判形式 判決
事件番号 昭和48年 (ネ) 28 
裁判結果 控訴棄却(確定)
出典 時報781号112頁/タイムズ328号293頁
審級関係 一審/03564/松江地浜田支/昭48. 3.30/昭和46年(ワ)850号
評釈論文 林昭・地方公務員月報144号49頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 結局本件ビラ貼り行為は国鉄就業規則六六条一七号に該当するものと認めることはできないし、また、前記のようなビラ貼り行為の行なわれた背景に照らせば、その際被控訴人らが上司あるいは管理者の制止を聞き容れず、前記認定程度の反論をするなどの態度を示したことをもって、同規則六六条三号、一七号に該当するとは解し難く、結局被控訴人らの行為は国鉄法三一条一号所定の事由には該当しないことが明らかである。
 なお、よせ書きのつり下げについては、被控訴人らに本件処分が告知された際に交付された処分理由書に記載されていなかったことが弁論の全趣旨によって認められるところ、これを本件訴訟において処分事由として主張することが許されるとしても、付随的な事由にしか過ぎないものと解されるのであって、主たる事由であるビラ貼り行為や上司あるいは管理者の制止に従わなかったことが前記のとおり国鉄就業規則六六条三号、一七号に該当しない以上、右よせ書つり下げの点のみをとらえて本件戒告処分を正当化するに足りる程度に著しく不都合な行為とみるのは相当でない。
 そうすると、その余の点について判断するまでもなく、控訴人の総裁が被控訴人らに対し国鉄法三一条一号に基づいてした本件戒告処分はいずれもその処分事由を欠き、無効なものといわなければならない。