全 情 報

ID番号 03621
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 芸陽バス事件
争点
事案概要  通勤用自家用車の所持品検査を拒んだことを理由とするバス車掌に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 所持品検査
裁判年月日 1972年4月18日
裁判所名 広島地
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ヨ) 437 
裁判結果 一部認容・却下(控訴)
出典 時報674号104頁/タイムズ280号297頁
審級関係
評釈論文 山口浩一郎ほか・労働判例152号4頁/渡辺章・ジュリスト574号120頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-所持品検査〕
 所持品検査はさきに説示したように人権侵害の弊害を伴うものであるから、その方法や程度は妥当なものでなくてはならない。検査の対象となるものは乗務と密接に関連するもの、すなわち、服装検査のほか、乗務に際し会社から命ぜられて業務上携帯した物品、乗務に際し特に携帯した私物に限られる。
 乗務員が通勤に使用する自家用車内は、完全に個人の領域であるから、原則的には検査の対象とならない。次に述べるような特段の事情のある場合に始めて検査が許される。所持品検査は乗務時の状態をそのままさらさなくては意味がないからといって、所持品検査前あるいは所持品検査中に、係員の許可なく乗務員が自家用車内に乗り込んだときは、乗務員に対し自家用車内から出ることを求めることができる。同じように、係員の許可なく乗務員が検査の対象となる私物などを自家用車内に持ち込んだときは、乗務員に対しこれを車内から取り出して提示することを求めることができる。そして、乗務員が許可なく自家用車内に乗り込んだうえ車内に金品を隠したり、許可なく私物などを持ち込んだうえその中の金品を隠したりするように、車内において不正取得を疑わせる客観的な行為をしたときに、始めて車内検査そのものを求めることができる。許可なく自家用車に乗り、許可なく私物などをこれに入れたとしても、右のような客観的行為はなく、単に係員がその態度は不審だと思っただけで、車内検査を求めることができるわけではない。