全 情 報

ID番号 03660
事件名 雇用契約上の権利存在確認請求事件
いわゆる事件名 中部日本放送事件
争点
事案概要  放送会社において組合役員たる営業担当職員が、組合の指令によりリボン、腕章、赤鉢巻を着用して勤務し取引先と面談したことを理由として懲戒解雇されたケースでその効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1972年12月22日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (ワ) 101 
裁判結果 認容(控訴)
出典 時報706号88頁/タイムズ292号330頁
審級関係 控訴審/01806/名古屋高/昭50.10. 2/昭和47年(ネ)613号
評釈論文 竹下英男・労働法律旬報832号56頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 (二) しかし原告の右行為のうち、リボン、腕章の着用行為は、原告が営業部員であることを考慮においても、これによって被告の正常な業務運営を著しく阻害し、被告の職場秩序を著しく乱したとは認められないから、懲戒解雇に価する程悪質な行為と評価することは困難である。
 (中略)
 (五) これを要するに、原告のリボン等の着用行為、「不当労働行為罪状証明」なる文書の作成、発表行為はいずれも違法であり、就業規則所定の懲戒事由には該当するが、被告の業務の運営を著しく阻害し、職場秩序を乱し、ひいて被告の信用を失墜させる等被告に重大な損害を与えたものとは認められないから、いまだもって、懲戒解雇に価する程極めて悪質な行為とはいえない。
 しかも被告の職員就業規則六九条には、前記のとおり懲戒処分として解雇に至るまで六段階の定めがあり本件懲戒解雇は原告に対し極めて苛酷な処分であって、客観的妥当性を欠き、被告の有する裁量権の範囲を著しく逸脱し、解雇権を濫用したものとしてその余の点を判断するまでもなく無効というべきである。右説示に反する被告の主張は採用できない。