全 情 報

ID番号 03958
事件名 地位保全金員支払仮処分申請事件
いわゆる事件名 阪神百貨店事件
争点
事案概要  架空の売上げを捏造したこと等を理由とする、デパート職員に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
裁判年月日 1988年4月26日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和62年 (ヨ) 2172 
裁判結果 却下
出典 労働判例518号24頁/労経速報1327号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
 5 申請人は、前記認定のように、担当主任あるいは専任主任という責任ある地位、立場にありながら、架空売上等の不正行為を長期間にわたって行い、被申請人会社に対してかなりの損害を与えたにもかかわらず、その損害の弁償も一切していないのであって、その情状は決して軽くはなく、疎明資料によれば、本件に関する処分者は、懲戒解雇二名、諭旨解雇一名、降格・降職二名、謹慎二名、減給二名、譴責三名に及び、本件は被申請人会社にとってはかつてない大規模の不正事犯であって、社内に及ぼした影響も極めて大きく、しかも申請人は本件の中心人物であるから、その責任は重いというべきである。なお、疎明資料によれば、申請人の本件懲戒解雇については、労働協約に基づき懲罰委員会が開催されて、労働組合との協議が行われた結果、労働組合も懲戒解雇に同意し、全員一致で被申請人会社の処分案どおり決定されたことが認められる。
 6 右にみたような本件事案の内容、情状等諸般の事情を総合勘案すれば、本件懲戒解雇はまことにやむを得ない処分というべきであって、懲戒権を濫用したということはできない。