全 情 報

ID番号 03961
事件名 地位保全金員支払仮処分申請事件
いわゆる事件名 大阪フィルハーモーニィー交響楽団事件
争点
事案概要  競業行為を行ったことを理由とする交響楽団のメンバーに対する解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
労働組合法16条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 就業規則所定の解雇事由の意義
解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項
裁判年月日 1988年5月11日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和63年 (ヨ) 1633 
裁判結果 認容
出典 労経速報1325号12頁/労働判例518号20頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-就業規則所定の解雇事由の意義〕
 一般に、就業規則に解雇事由が列挙されている場合、就業規則等に、特にそれが自由な解雇権行使を自ら制約したものである旨(限定的列挙)、あるいは解雇事由の一部列挙にすぎず、列挙事由以外の場合でも解雇できる旨(例示的列挙)が明らかにされているときは、それに従うべきことは論を待たないが右趣旨が明らかにされていない場合には、特段の事情のない限り、解雇事由の列挙は例示的なものであって、これにより使用者が解雇権を自ら制約したものということはできず、使用者は、就業規則に規定された解雇事由に該当しない事由をもって解雇をなし得ると解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、疎明によれば、本件就業規則は別紙就業規則のとおりであって、右就業規則上、解雇事由が限定的列挙あるいは例示的列挙と解する条項はないし、本件疎明上、本件就業規則を限定的列挙あるいは例示的列挙と解する疎明はない。
 したがって、本件就業規則の解雇事由は、例示的列挙と解するのが相当である。
〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕
 右事実によれば、組合支部と被申請人側との本件解雇問題についての交渉は平行線のまま終息したものであって、本件文書はこのことを明らかにしたにすぎず、本件文書から組合支部が本件解雇に同意したと解することは困難であるから、右文書をもって本件協議合意条項にいう「協議が整った」と認めることはできないし、本件疎明上、他に右協議が整った事実を認めるに足りる疎明はない。
 したがって、本件解雇は本件協議合意条項に違反し無効なものといわざるを得ない。