全 情 報

ID番号 03970
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 ケイエム観光事件
争点
事案概要  バスガイドとの情交関係を理由としてなされたバス運転手に対する解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 企業秩序・風紀紊乱
裁判年月日 1988年5月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ヨ) 2323 
裁判結果 却下(控訴)
出典 時報1279号151頁/タイムズ671号132頁/労働判例519号63頁
審級関係
評釈論文 遠山廣直・昭和63年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊706〕360~361頁1989年10月/新谷眞人・季刊労働法149号168~169頁1988年10月
判決理由 〔解雇-解雇事由-企業秩序・風紀紊乱〕
 本件情交関係当時、申請人は既に四〇才を超えていたのに対し、Aは一〇代の独身女性であり、《証拠略》によれば、Aは本件情交関係については不本意であったこと、Aは、本件が会社内に広まってしまい、居づらくなったため、昭和六一年九月一〇日退職したことが一応認められ、また、《証拠略》によれば、被申請人では、女性バスガイドが必要であり、会社内の風紀の維持が不可欠のため、本件のようにバスの運転手がバスガイドとの間で情交関係を結んだ場合には、懲戒解雇の方針をとっていること(もっとも、運転手から依願退職の申し出があればこれを認めており、過去一〇年間にそのような行為のあった者が七人位いたが、いずれも依願退職していること)が一応認められる。さらに前記のとおり、本件では二回とも勤務時間中に申請人がAを誘ってその勤務時間終了後情交関係を結んだものである。そうすると、申請人の本件行為は職場の秩序を乱したものといえる。
 3 右1、2の事情及び本件が普通解雇であることを総合考慮すると、本件解雇が合理性を欠くものとは認められず、したがって、解雇権の濫用にあたるとはいえない。