全 情 報

ID番号 04076
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 ミリカスポーツ振興事件
争点
事案概要  ゴルフ練習場のフロントでの売上金の着服を理由とする懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
裁判年月日 1987年11月17日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 4004 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1315号27頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
 原告は、客のAのときであるかはともかくとして、抗弁5記載のように、料金の精算にあたり、ゴルフ練習場の客が使用したコインの数より少ない数を計算書に記入してきたことを認めているところ、原告は、そのようにした理由として、前の客の計算書に実際の使用コイン数よりも多く記入した場合等に、次の客の計算書で調整したものであり、前の客の計算書を訂正する方法は誤解を生じるので採らなかった旨述べるが、原告の行った方法では、本当に調整の手段であるか否か、確認することができず、かえって誤解を生ずるおそれがあるといえ、他方原告本人尋問の結果によれば原告の方法を是認する内規はないことが、(人証略)によれば、原告の後任としてゴルフ練習場の主任になった右Bは計算書の記入間違いの是正手段として右原告の行った方法を知らなかったことが、それぞれ認められ、前認定の被告会社の社長が、現金の取り扱いにつき過ちがないよう度々訓示していたことも併せ考慮すると、右方法は、調整の手段としては甚だ不適切であるといわざるをえず、前客の計算書の記入間違い等を調整する手段として行ったとする原告の主張は不合理である。
 原告が売上金の一部を着服していないとしたら、被告会社社長は、虚言をろうし原告を懲戒解雇処分にし、退職金を支給しないことにしたことになるが、被告会社がそのようなことをする動機が見当たらない。