全 情 報

ID番号 04082
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 北大阪菱光コンクリート事件
争点
事案概要  対立組合を相手としないこと等を要求してなされた争議行為の実行者に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働組合法8条
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒手続
裁判年月日 1986年3月18日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和59年 (ヨ) 2028 
昭和59年 (ヨ) 2958 
裁判結果 却下
出典 労働判例473号58頁/労経速報1251号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 前記争議行為に至る経緯において明らかなように、従前の運輸一般関生支部が事実上分裂した後、関生労組と関生支部はそれぞれ自己が正当な協定、協約継承権があると主張し、生コン会社側に対し団体交渉することを求めていたが、関生労組は関生支部の存在を否認し、彼らの開催した大会は支部規約を無視した幻のものに過ぎず、彼らを分派集団ときめつけて、生コン会社に対してユニオンショップ協定による解雇の強要、彼らに対する一切の接触拒否を主張し、これに従わない生コン会社に対しストライキ等を実施して生コンの出荷妨害をしていた折柄、被申請人が認めたAの組合要務取扱いとB文書の存在を取り上げて関生支部を認知したものと攻撃し、関生支部との接触を一切しないことを強要し、これに従わない被申請人に対し争議行為をもって自己の主張を貫徹しようとしたもので、積極的に関生支部の組織破壊を目指す攻撃的な意図を有するものであり、右争議行為がその態様について検討するまでもなく違法であることは明らかである。関生労組は対立する当事者でない被申請人に対し自己の違法な目的を遂行させるため争議行為という名の下に出荷妨害という実力行使に出たものであり、その違法性は極めて高いというべきである。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒手続〕
 被申請人が申請人らを懲戒解雇するにあたり、関生労組と三回にわたり協議の機会を持ったことは前記のとおりであり、本件疎明資料によれば、右協議においては懲戒解雇の前提問題について議論が交わされ、関生労組は懲戒解雇について全く受け合わず、協議をする態度を示していなかったことが疎明され、右事実によれば、右組合は協議を拒否していたものというべきであるから、懲戒解雇につき事前協議を尽していないと主張することは許されず、その余の点について検討するまでもなく、申請人らの主張は失当である。又、就業禁止の措置は懲戒処分ではなく、懲戒処分をきめるためにとられる措置であり、本件のように懲戒解雇について協議がなされるときは、それに関連するものとして協議の機会が与えられるものであり(申請人らはそのような機会が与えられているのに就業禁止について積極的に協議しようという意思もなかったことは本件疎明資料から明らかである)、そのような事情から就業禁止について事前協議の対象とする意義は他の労働条件と比べて薄く、又、文言のうえからも就業禁止措置が直ちに労働条件の変更に該当するものとはいえず、これを含ませるためには明瞭に協議の対象として合意し規定すべきであるから、右のような規定から就業禁止が事前協議の対象になるということはいえない。