全 情 報

ID番号 04095
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 宮園自動車・宮園タクシー事件
争点
事案概要  勤務成績不良、会社中傷のビラ配布、交通事故の多発等を理由とする解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
解雇(民事) / 解雇事由 / 会社批判
解雇(民事) / 解雇事由 / 道交法違反
裁判年月日 1985年2月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (ワ) 5458 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1219号19頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
〔解雇-解雇事由-会社批判〕
〔解雇-解雇事由-道交法違反〕
 原告X1の前記(1)の行為は就業規則二九条四号に該当するものと認められ、しかもほとんど連日大幅な遅刻を繰り返していることは、反省の態度に乏しいものと評価することができる。原告X1はB型賃金で出来高払いであるから出勤時間は自由であると主張するけれども、たとえ賃金が出来高払いであったとしても、出勤時刻に著しく遅刻をしこれを繰り返すことは職場規律を著しく乱す行為であるというべきである。原告X1の前記(2)の行為は就業規則二九条八号に該当するところ、その記載内容が真実であると認めるべき証拠はなく、またその表現の内容もどぎつく、その情状は悪質であると認められる。原告X1の前記(3)の行為は就業規則六六条六号の刑事上の罪に問われたときに該当する。そして、事故の態様は個々の事故それ自体をみると、それほど重大なものとはいえないけれども、約一年半の間に七回も過失による事故をひき起したことは強く非難されてもやむを得ないであろう。原告X1の前記(4)の行為についてはその詳細が明らかでなく就業規則所定の解雇理由に該当するものと認めるに足りない。原告X1の前記(5)の行為は就業規則六六条二〇号に該当する。そして、原告X1の前記(1)から(3)まで及び(5)の各行為の内容、態様、悪性等を総合して考えると、被告Y1会社において、同原告を通常解雇することもやむをえない事情があったものと認められ、解雇権の行使が権利の濫用であると認めることはできない。
 (中略)
 原告X2の前記(1)の行為は就業規則二九条四号に該当するものと認められ、しかもほとんど連日大幅な遅刻及び帰庫時刻の遅れを繰り返していることは、反省の態度に乏しいものと評価することができ、職場の規律を著しく乱す行為であるといわなければならない。原告X2の前記(2)の行為は就業規則二九条八号に該当するところ、その記載が真実であると認めるに足りる証拠はなく、その表現もどぎつく、その情状は悪質であると認められる。原告X2の前記(3)の行為は就業規則六六条二四号に該当するが、そのビラの内容が真実であると認めるべき証拠はなく、これについても強く非難されなければならない。原告X2のAとの争いについては、原告X1の場合と同様その詳細が明らかでなく就業規則所定の解雇理由に該当するものと認めるに足りない。原告X2の前記(5)の行為については、いずれも解雇より二年以上前の行為であり、しかもそれほど悪質な行為とも思われないので、それだけでは解雇の理由とすることはできないものと解するのが相当であるけれども原告X2の勤務態度を現わす一つの事情として評価することはできよう。原告X2の前記(1)から(3)まで及び(5)の各行為の内容、態様、悪性等を考慮すると、被告Y2会社において同原告を通常解雇することもやむを得ない事情があるものと認められ、解雇権の行使が権利の濫用であると認めることはできない。
 よって、被告Y2会社のした原告X2に対する解雇は有効である。