全 情 報

ID番号 04135
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 トモエタクシー事件
争点
事案概要  無線配車指令拒否、上司に対する暴言等を理由とするタクシー運転手に対する諭旨解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1985年10月11日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和60年 (ヨ) 1397 
裁判結果 一部認容
出典 タイムズ614号65頁/労働判例464号27頁
審級関係
評釈論文 芝原明夫、金高好伸・労働法律旬報1142号60頁1986年4月25日
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 また、本件疎明資料によれば、これまで被申請人従業員で懲戒処分により解雇された例として、他人の水揚を利用して皆勤手当を得ていて諭旨解雇とされた事例はあるが、乗車拒否とか無線配車拒否等で懲戒処分として解雇された事例はなかったことが一応認められる。
 右のとおり、申請人の行為の程度が比較的軽度であるといえること、過去の処分事例との比較、さらには、被申請人の就業規則には、各種の情状を考慮して決定する旨の規定があり、懲戒には、前示のとおり、解雇以外にも減給、降格、出勤停止等があること、申請人はこれまで無事故、無欠勤等で二回表彰されているが処分を受けたことはなかったこと、また処分決定までの間、就業制限として、申請人に対して無線配車停止の措置がとられ、通常の勤務に比して水揚を上げにくい不利益措置がとられていたこと等の諸事情を総合考慮すると、被申請人において申請人を解雇することが社会通念上相当とする程のやむを得ない事由があるとは認められず、本件諭旨解雇は重きに過ぎるといわざるを得ない。