全 情 報

ID番号 04164
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 セントラル硝子事件
争点
事案概要  堺工場から松阪工場へ配転を命ぜられた従業員が、右配転を組合活動および日本共産党員であることを理由とする差別取扱いであるとして争った事例。
参照法条 労働基準法3条
労働基準法2章
労働組合法7条1号
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / 信条と均等待遇(レッドパージなど)
配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界
裁判年月日 1970年2月3日
裁判所名 大阪地堺支
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (ヨ) 122 
裁判結果 却下
出典 時報586号94頁/タイムズ244号223頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-信条と均等待遇(レッドパージなど)〕
 以上(一)、(二)の事実を併わせ考えると、申請人の政治活動、総合活動が、本件配転命令の決定的原因であったと認めることはできず、本件配転命令の決定的原因は、申請人の組合、政治活動とは直接関係のない会社側の前記のような業務上の必要性に基因するものと解する。従って本件配転命令が労働組合法七条一号、ならびに憲法一四条、労働基準法三条に違反するとする申請人の主張は採用できない。
〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕
 本件配転命令当時、会社が申請人の右結婚予定を知っていたかどうか証拠上必ずしも明らかではないが、本件配転が申請人の私生活上相当の苦痛や不便を強いるものであることは争えない。しかしながらこのような私生活上の苦痛や不便は配転に伴って大なり小なり誰にでも生ずるものであり、しかも《証拠略》によると、申請人が結婚した場合の社宅の提供とか共働きする場合の配偶者の就職先の斡旋等につき会社の協力が充分期待できるという事情も認められるから、本件配転が前述のように業務上の必要に出たものである限り、申請人の私生活上この程度の苦痛や不便が生じてもやむを得ないというべきである。