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ID番号 04198
事件名 行政処分取消請求事件
いわゆる事件名 広島西郵便局事件
争点
事案概要  条件付採用期間中の職員に対する免職処分につき、裁量基準を逸脱し違法とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
人事院規則11-4(職員の身分保障)9条
体系項目 労働契約(民事) / 試用期間 / 本採用拒否・解雇
裁判年月日 1970年7月21日
裁判所名 広島地
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (行ウ) 32 
裁判結果 一部認容,一部却下
出典 行裁例集21巻7・8合併号1054頁/訟務月報16巻11号1319頁
審級関係 控訴審/01223/広島高/昭48. 7.20/昭和45年(行コ)7号
評釈論文 佐藤進・労働判例110号81頁
判決理由 〔労働契約-試用期間-本採用拒否・解雇〕
 被告は、右の条件附採用制度の意義及び人事院規則一一-四の規定の趣旨等に鑑み、条件附採用期間中の職員に対する免職処分は、任命権者の広範囲な自由裁量に属するものである旨主張するが、条件附採用期間中の職員は、法の成績主義の原則に則つた試験または選考の過程における選別を終えていること、条件附採用制度が、右の成績主義の完全を期するためのものであり、その本質は職員としての不適格者を排除するためのものであり、職員として正式に採用する場合は何らの発令形式をとらず、不適格者にのみ免職処分通知をしていること、条件附採用期間中の職員といえども、国家公務員として宣誓したうえ採用され、一定の給与の支払いを受けており、正式採用されることに対する期待権を有していることを考えれば、それらの者の権利を剥奪する免職処分には、その官職に引き続き任用しておくことを不適当とする合理的理由が必要であると考えられる。そして、これは、条件附採用制度とは何ら矛盾するものではない。人事院規則一一-四第九条はこのことを明文化したものであり、右条項に基づく免職処分は右条項に該当する具体的理由を要し、その判断はいわゆる覊束裁量に属するものと解すべきである。
 (中略)
 以上の理由により、本件免職処分は、先に述べた条件附採用期間中の職員に対する免職処分事由に欠けており、原告が、人事院規則一一-四第九条にいう郵政省事務員としての適格性を欠いている旨の判断からなされた本件免職処分は、その裁量基準を逸脱するものと解するのが相当である。
 従つて、本件免職処分は、人事院規則の前記条項の適用を誤つた違法があるものとして取消しを免れないものである。