全 情 報

ID番号 04378
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 日本赤十字社事件
争点
事案概要  病気休職の者が休職期間満了時に自動退職と取扱われたことにつき従業員としての地位保全、賃金仮払の仮処分を申請した事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 休職 / 休職の終了・満了
裁判年月日 1966年5月16日
裁判所名 山口地
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ヨ) 84 
裁判結果 一部認容,一部却下
出典 労働民例集17巻3号637頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔休職-休職の終了・満了〕
 前記就業規則第五〇条第一号、第五一条によると公症による場合を除き病気欠勤六ケ月以上に及びなお勤務に堪えないとして休職を命ぜられた従業員につき満一ケ年の休職期間が満了したときは結核性疾患による場合を除き自然退職とすると定められており、同規則第六七条によると就業すると病気昂進の虞がある者、病気の回復が充分でない者その他従業員の衛生上就業を不適当と認める者については就業させないことに定められていることが認められるが、そもそも休職処分は当該従業員に職務に従事することが適当でない事由が生じた場合に右事由の継続する間一時従業員の地位を保有せしめながらその執務を禁ずる処分であるから休職期間満了による自然退職の措置は休職事由の存続を前提としてのみ有効にとり得るものであることは休職処分の性格上疑を容れないところである。従つて病気休職中の債務者の従業員が勤務可能な状態にまで回復した場合債務者は右従業員の復職願を容れてこれを復職させなければならないと解すべきであつて、その理は休職終了の事由として休職事由の消滅が明文化されている場合(国家公務員法第八〇条第三項)と否とにかかわりはない。ただこの点の明確な定めを欠く本件の場合一応債権者の病状回復の程度は債務者側の判定に委ねられ、その認定をまつて始めて復職が許されるものと解するほかはないけれども、その認定は債権者の客観的健康状態即ち休職事由の存続、消滅についての確認的なものであり、債務者の恣意を許すものであつてはならないのであつて、もし債務者が復職可能性についての判定を誤まり客観的に当然復職可能の状態にあるとみられる従業員の復職を拒否した場合は右復職拒否の措置は違法であり当然復職し得べかりし時即ち復職許可の通知を受けるべかりし時債権者は当然復職したものとみなされるべきものである。