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ID番号 04524
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 相模基地事件
争点
事案概要  相模基地において駐留軍労務者として勤務していた者が整理解雇され、その効力を争った事例。
参照法条 労働基準法20条
労働組合法16条
体系項目 解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項
裁判年月日 1956年4月18日
裁判所名 東京地
裁判形式 決定
事件番号 昭和30年 (ヨ) 4768 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集7巻2号237頁/労経速報207号1頁
審級関係
評釈論文 労働経済旬報298号18頁
判決理由 〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕
 駐留軍労務者は被申請人に雇傭されてはいるけれどもその使用者は軍であつて、解雇その他労働条件の最終的決定は軍に一任せられ被申請人はこれに拘束される関係にあるので、人員整理のための解雇についても雇傭主としての被申請人の採るべき措置には一般の雇傭関係におけると趣を異にし従つて整理の理由その他団体交渉において論議さるべき事項に関する被申請人の解明には限度があつてもやむを得ないものといわなければならない。
 申請人は八月十六日の団交において労管が組合と協議する旨の協定の趣旨に違反し、誠実にこれをしなかつたと主張するけれども、雇傭契約の右特殊性と前記認定事実によれば労管は右協定の趣旨に従つて職場の実態を更に具体的に解明するため対軍折衝をなし全員救済を目的として尽力したものでありこれに基いて同月十九日から二十日にわたつて団交を持ち組合と協議したものであつて右は一応誠実になされたものと認めざるを得ない。
 次に八月十九日二十日の団交の結果成立した協定については前記認定事実によれば労管は同月二十二日の団交開催までは解雇予告をなさないことを宣言したけれども、その団交の開催を無条件に承認したものではなく、また対軍折衝の結果同月二十三日に解雇予告の通告のなさるべきことは避けられない状勢にあることを繰り返し説明してその諒解を求め、なお同月二十二日の団交開催は日駐労との先約があるため不可能である旨を告げた上での協定であつて、日駐労において、同日の団交に要する時間を明定しなかつたのであるから支部組合が団交を持ち得る見込は殆んどなかつたわけであり、また既に三回に及ぶ長時間の団交によつて問題とさるべき事項は論議し尽されていたので、二十二日の団交が開催されても既になされた論議を繰り返すに過ぎない状勢にあつたばかりでなく、労管所長が病気で倒れたため、労管の監督官庁である県当局において同月二十二日更に対軍折衝をなし支部組合の上部組合とも協議を経たことが認められるのであるから、同月二十二日の団交を経ないでなされた本件解雇予告を目して同月二十日成立の協定に違反した不信義な措置と断ずることも到底できない。
 よつて本件解雇が信義に違反した権利の濫用であるとの主張も理由がない。