全 情 報

ID番号 04534
事件名 不当労働行為救済申立棄却命令取消請求事件
いわゆる事件名 全駐労救済申立事件
争点
事案概要  駐留軍労働者が整理解雇されたことにつき右解雇を不当労働行為にあたるものとして争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性
裁判年月日 1956年8月20日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和30年 (行) 16 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集7巻4号744頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-整理解雇-整理解雇基準〕
 人員整理のため余剰員を解雇する場合には整理基準に別段の定め、その他特段の事情のない限り企業に対する寄与性の観点に基きその効率の少いものから整理の対象を選択するのが合理的であるというべきであるので、この点から見れば、機械的基準である勤務年数よりは作業能率又は勤務成績の方が重視さるべきであるということができても右は抽象的一般論たるに止まり具体的の適用においてこれがそのまま妥当するとは限らない。即ち、基準に該当すると否とは結局は程度の差に外ならないのであるから、基準別の該当者について具体的に企業に対する寄与性を比較することは甚だ困難であるといわざるを得ず、従つて基準該当者である勤続年数の短い者と作業能率の劣る者との比較において特に著しく作業能率の劣る者を勤続年数の短い者より有利に取扱つたという場合の外は両者の取扱に差等を設けなくても不当といえないばかりでなく基準該当の何れか一方のみによつて冗員を選出しても一概に不当とはいえない。
 而して本件においてA、Bが技能及び作業能力において特に著しく原告より劣ることを認むべき証拠はないから勤続年数の基準に基いてなされた本件原告の解雇を差別的取扱と認めることは困難である。