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ID番号 04653
事件名 吏員罷免無効確認事件
いわゆる事件名 松前町長吏員罷免事件
争点
事案概要  公務員としての適格性を欠く等として免職処分された地方公務員が右免職の無効確認を求めた事例。
参照法条 労働基準法20条1項
体系項目 解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力
裁判年月日 1957年1月30日
裁判所名 松山地
裁判形式 判決
事件番号 昭和30年 (行) 11 
裁判結果 棄却・取消
出典 行裁例集8巻1号176頁/タイムズ70号100頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-労基法20条違反の解雇の効力〕
 本件免職処分が労働基準法第二十条に違反するかどうかについて判断するに、被告が原告らを免職するにあたり三十日前に解雇予告をしなかつたこと及び三十日分以上の平均賃金を支払わなかつたことは当事者間に争のないところであるから本件免職処分は同条に違反する処分であるというのほかはない。しかし、同条に違反して予告手当の提供をしないでする解雇(免職)が無効であるかまたは単に使用者が同条所定の予告手当の支払債務を負担するに過ぎなく解雇そのものは有効であるかについては同条の規定自体が明瞭を欠きいずれとも解し得る余地が存し学説も対立しているのであるが、同法第百十四条によると、裁判所は同法第二十条に違反した使用者に対し労働者の請求により同条の規定により使用者が労働者に対して支払うことを要する金額の未払金のほかにこれと同一額の附加金の支払を命ずることができることと定められているのであつて、もし予告手当を支払わないでした解雇が無効であるとすれば使用者と労働者との雇傭関係は依然として存続しているのであつて、使用者をして労働者に対し右附加金だけを支払わせるのならば格別同法第二十条所定の予告手当まで支払わしめる必要はない筈であつて、かくては附加金支払制度を設けた同法第百十四条の趣旨を没却するというべきである。したがつて同法第二十条により同条所定の予告手当を支払うことは即時解雇をしようとする使用者に課せられた労働基準法の義務ではあるが解雇自体の有効要件をなすものではないと解するを相当とする。さすれば本件免職処分は労働基準法第二十条に違反するから無効であるとの原告らの主張は採用に由ないものである。