全 情 報

ID番号 04686
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 精巧社事件
争点
事案概要  雑役夫として就業してきた労働者が解雇通告を受けたのに対し、不当な解雇通告であるとしてその効力を争うとともに賃金、残業手当等の支払を求めた事例。
参照法条 労働基準法20条1項
体系項目 解雇(民事) / 労基法20条違反の解雇の効力
裁判年月日 1959年4月2日
裁判所名 東京簡
裁判形式 判決
事件番号 昭和33年 (ハ) 2194 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集10巻2号351頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-労基法20条違反の解雇の効力〕
 労働基準法第二十条が解雇されることにより職業を失う労働者に対し他に就職先を求めるなどに必要と考えられる期間内の生活を保障し、失職によつて直ちに路頭に迷うことのないようとの配慮に出たものであると解し得ることを思えば、解雇の意思表示が同条第一項本文に定める予告期間もおかず、かつ予告手当の支払もしないでなされた場合には、それは即時解雇としての効力は生じないこと勿論ではあるが、その解雇の意思表示が使用者において即時であると否とを問わず、要するにその労働者を解雇しようとするにあたつて、即時解雇の効果が認められないならば解雇する意思がないというような即時解雇のみを固執する趣旨の特段の事情のない限りは、即時雇用契約を終了させる趣旨の意思表示をしてもそれは第二次的にはその意思表示がなされた後同条第一項本文所定の三十日の期間経過をまつてその効力を生ずるに至るものと解するのを相当とする。そして、右のように解したとしても、前記法条が意図している労働者の保護を何ら減殺するとは考えられない。
 これを本件についてみるに、昭和三十三年六月三十日になされた解雇の意思表示が予告手当の支給をすることなくなされたこと、右予告手当が原告に支給されたのが同年八月二日であることは被告において明らかに争わないものであるところ、右解雇の意思表示がなされた後に右のように予告手当の支給がなされかつその支払の時期が右解雇の意思表示がなされてから一カ月余り後のことにすぎない事実と弁論の全趣旨によれば、被告としては原告の勤務状態などから判断して予告手当の支払義務がないと判断し雇用契約の即時終了を信じたのにとどまり、即時解雇の意思表示が一定期間経過後の解雇を特に除外する意図をもつていたものと認めることはできないから、さきに述べた理由により、前記解雇の通告はその三十日後である昭和三十三年七月二十九日の経過とともに解雇の効力を生じ、原告と被告との間の雇用関係は同日をもつて終了したものというべきである。