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ID番号 04727
事件名 地位確認請求控訴事件
いわゆる事件名 エッソ石油事件
争点
事案概要  地位確認訴訟の係属中に原告労働者が死亡した場合について右訴訟が右労働者の相続人において受継されるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法896条
民事訴訟法(平成8年改正前)208条
体系項目 解雇(民事) / 解雇と争訟・付調停
裁判年月日 1989年3月22日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (ネ) 2157 
裁判結果 棄却
出典 東高民時報40巻1-4号23頁/一次資料575
審級関係 上告審/05295/二小/平 1. 9.22/平成1年(オ)812号
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇と争訟〕
 労働者の労働契約上の権利の中には賃金請求権のように相続の対象になる権利が含まれており、訴訟上の請求として右にいう労働契約上の権利を有する地位の確認請求ないし労働契約上の地位の確認請求が許されるのは、このような賃金請求権等を含む権利発生の基礎となる地位自体の確認をして当事者間の法律関係を確定することについて訴えの利益が肯定されるからに他ならないのではあるが、労働契約上の地位自体は当該労働者の一身に専属的なものであって相続の対象になりえないことは明らかである。そうである以上、労働者の相続人は、労働者にその地位があったことの確認を求めうるものではなく、いわんや、労働者の提起した前記のような確認請求の訴訟手続を受継することはできないのであって、その確認請求訴訟は、労働者の死亡により当然に終了すると解さざるをえない。そして、相続人が労働者である被相続人から相続した賃金請求権等を行使するに当たっては、労働契約上の地位について確認判決を得る必要はないから、このように解しても、その権利行使に何ら支障はないのである。
 したがって、本件訴訟は一審原告が死亡したことにより終了したというべきであり、訴訟が終了したことを手続上明確にするために終了宣言をした原判決は相当であって、本件控訴はいずれも理由がない。