全 情 報

ID番号 04972
事件名
いわゆる事件名 藤原運輸事件
争点
事案概要  事業主が労災保険法所定の義務を怠ったため労災保険の給付の全額の支給を受けられなかった者がその残額につき使用者(事業主)に対して請求した事例。
参照法条 労働者災害補償保険法18条(旧)
体系項目 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 遺族補償(給付)
労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 保険料の怠納、労働者側の重過失等による給付制限
裁判年月日 1955年4月13日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和27年 (ワ) 1107 
裁判結果 棄却
出典 下級民集6巻4号701頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-遺族補償(給付)〕
〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-保険料の怠納、労働者側の重過失等による給付制限〕
 原告の遺族補償費の残半額の請求について考えるのに、労働者災害補償保険法第三条所定の事業主が同法所定の保険料の算定又は保険給付の基礎である重要な事項について不実の告知をしたり、また保険料の納付を怠つたがため保険事故発生の際同法第十七条第十八条によつて国家がその保険給付の全部を支給しないときに、国家が支給しなかつた保険給付の全部又は残りの一部を当然その事業主が負担し之を被保険者又は遺族に支給しなければならないかは労働者災害補償保険法には何等の規定はないのみならず、むしろ同法に基いては事業主はかゝる給付義務を負わないものと解すべきであつて、このような場合労働者並にその遺族は労働基準法に基いて使用者である事業主に対して災害補償を求めることができるのである。従つて原告の労働者災害補償保険法に基く請求は請求自体法律上理由のないものと言わねばならないのみならず、前認定事実によると原告の息子Aは被告の使用人でないのであるから、この点から言つても原告の右請求は理由がない。