全 情 報

ID番号 05019
事件名 解雇無効確認請求事件
いわゆる事件名 呉羽化学錦工場事件
争点
事案概要  いわゆる平事件で起訴され会社から出勤停止の処分を受けた者が、会社工場に出入りし、同事件を応援しない組合に反抗的態度を示し、組合機関誌に組合と会社が結託している等の虚偽の記事を掲載したとして懲戒解雇された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1958年3月6日
裁判所名 福島地平支
裁判形式 判決
事件番号 昭和31年 (ワ) 42 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集9巻2号115頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 右A労働組合は平市警察署の掲示板撤去命令に端を発して騒擾を為したとする昭和二十四年六月三十日起きた平事件の数日前頃右取消命令に対する示威運動に参加を求められたのでこれを拒否したが原告等三名の外同組合員約八名は右組合の不参加にも拘らずこれに参加したこと、同組合は同事件の数日後これに支援を要請されたので同事件に参加した原告Xに該事件の説明を求め同人から事件関係者が警察署の留置場を破壊し警察官を拘禁したり拳銃を奪取したりしたこと等の報告を受けた後、更に実地調査をした結果これに関知しないこととし支援に応じなかつたこと、その後原告等は別紙記載の様な事実で起訴の上勾留されたので、被告会社に於ては事件の関係者に対し懲戒処分の為右組合に対し協議を求め同組合執行委員会の承諾を得て関係者一同を出勤停止(但し賃金の支払はこれを停止しない)処分にしたこと、原告等は同二十四年十月頃保釈されたが、同事件に応援しない右組合に反抗的態度を示し、出勤停止中にも拘らず被告会社工場に出入するは勿論早期職場復帰を主張し、原告等に対する懲罰に関する組合の執行委員会が同二十五年一月二十六日開催されるや、その大勢が事件関係者に不利とみて、原告Xに於て同組合の機関紙である乙第五号証のB紙上に被告会社幹部と組合幹部とが結託している旨の虚構の記事を掲載し、原告等三名に於て右Bを組合員に配布し、被告と組合との離間を計つたこと、その結果被告は原告等三名の言動が会社内の秩序を乱すとし前記就業規則第五十一条第十三号の前各号の外不都合の行為があつたとき、の不都合の行為に該当するものとして乙第一号証の労働協約第十九条により右組合に対し原告等三名の懲戒解雇につき協議を求め、同組合では同二十五年一月三十日とその翌三十一日組合大会を開催し被告の申出に応じて協議の上被告の申出を承諾したので原告等三名を懲戒解雇したことを認めることが出来るから、被告としては原告等三名の保釈出所後の前示言動を右第十三号の不都合な行為として懲戒解雇したものと云わなくてはならなく、原告等の就業規則に該当しない違法の解雇であるとの主張は何等理由がない。