全 情 報

ID番号 05141
事件名 休業補償給付不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 大阪東労基署長事件
争点
事案概要  高血圧症の基礎疾病を有する労働者が建築資材の管理業務に従事中にパネル塀が倒れてきて頭に当たり数日後に意識不明となり入院するに至ったが、左上下肢マヒとなったことにつき右疾病が業務上に当るか否かが争われた事例。
参照法条 労働者災害補償保険法12条2項(旧)
労働基準法75条
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 災害性の疾病
裁判年月日 1972年6月16日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (行ウ) 36 
裁判結果 認容(確定)
出典 時報692号68頁/訟務月報18巻11号1757頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-災害性の疾病〕
 労災保険法所定の保険給付の対象となる業務上の負傷ないし疾病といいうるためには、本件のようないわゆる災害傷病についてみれば、被災者に他に病的素因または基礎疾病があり、それが条件または原因となって発病したと認められる場合であっても、同時に業務上の災害(受傷)と疾病との間に医学上相当程度の因果関係が認められるかぎり、それが唯一の発病原因であることを必ずしも要しないものと解するのが相当である。これを本件疾病についてみれば、本件疾病たる高血圧症に起因する脳出血であるとの可能性を全く否定しえないとしても、その可能性は極めて少なく、むしろ、本件受傷の部位、程度、発病にいたる間の架橋症状(頭痛、めまい)と経過、原告の過去の症状、加療中における諸検査の結果本件疾病の症状などにてらし、外傷性遅発性脳出血ないし外傷性脳栓塞などによる蓋然性が極めて高度で医学上本件頭部外傷と本件疾病との間の因果関係が強く肯定されるところであるから、前記説示にてらし、本件疾病は業務上の事由によるものと認めるのが相当である。