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ID番号 05175
事件名 損害賠償請求控訴/同附帯控訴事件
いわゆる事件名 大石事件
争点
事案概要  勤務中に同僚の過失により後退してきた自動車にはねられて死亡した労働者の遺族がその会社等を相手に損害賠償を請求したケースで、労災保険から支給される遺族補償年金の将来支給額が損害額から控除されるべきか否かが争われた事例。
参照法条 民法709条
労働者災害補償保険法12条の4
労働者災害補償保険法16条の2
体系項目 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償
裁判年月日 1977年1月31日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 昭和50年 (ネ) 523 
昭和50年 (ネ) 582 
裁判結果 取消・棄却,棄却(上告)
出典 時報858号75頁/交通民集10巻1号33頁
審級関係 上告審/05183/最高一小/昭52.12.22/昭和52年(オ)429号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕
 労災保険の遺族年金給付は労働者の収入によって生計を維持してきた遺族(特に死亡した労働者の妻)に対して、右労働者が死亡したため、その収入によって受けることのできた利益を喪失したことに対する損失補償及び生活保証を目的とし、かつ、その機能を営むものであって、遺族にとって右の給付によって受ける利益は、死亡した者の得べかりし収入によって受けることのできた利益と実質的に同一同質のものといえるから、死亡した者から、その得べかりし収入の喪失についての損害賠償債権を相続した遺族が、右各給付を受ける権利を取得したときは、死者の就労可能年数の間は、右の遺族の受けるべき労災年金と右の得べかりし利益の相続分は重複することになるから、右遺族の加害者に対する損害賠償債権額の算定にあたっては、相続した前記損害賠償債権額から右の年金給付のうち死者の就労可能年数を基準として算出した現価を控除しなければならないものと解するのが相当である。