全 情 報

ID番号 05284
事件名 未払賃金等請求事件
いわゆる事件名 山口事件
争点
事案概要  退職金に関する合意、就業規則、労働協約が存在しないとして、退職金請求が棄却された事例。
 労働者が年次有給休暇を請求しなかった場合に、使用者が休暇を与えなかったとしても、年休相当分の賃金支払義務は発生しないとされた事例。
参照法条 労働基準法39条
労働基準法89条1項3の2号
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
年休(民事) / 労働契約の終了と年休
裁判年月日 1989年8月22日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (ワ) 9965 
裁判結果 棄却
出典 労働判例546号27頁
審級関係
評釈論文 菊谷達彌・社会保障判例百選<第2版>〔別冊ジュリスト113〕162~163頁1991年10月/両角道代・社会保障判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト153〕158~159頁2000年3月
判決理由 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 二 退職金請求(請求原因2)について
 原告は、社会通念上及び労働基準法上、退職金請求権が発生すると主張するが、退職金請求権は、雇用契約において合意され、又は就業規則や労働協約等に明示の規定が存在することなどにより発生するものであり、社会通念や労働基準法の規定により当然に発生するものではないから、原告の右主張はそれ自体失当である。
〔年休-労働契約の終了と年休〕
 五 有給休暇の換価金の請求(請求原因5)について
 原告本人尋問の結果によると、原告は被告に勤務中、被告に対し有給休暇を請求していないこと、請求しなかった理由は特にないことが認められるところ、労働者が有給休暇を請求しなかった場合に、使用者が当該労働者に有給休暇を与えなかったとしても、それ故に使用者が労働者に対し有給休暇相当分の賃金を支払う義務が法律上当然に発生するものではないから、原告の右請求は失当である。