全 情 報

ID番号 05679
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 豊嶋運送事件
争点
事案概要  長距離運送で仮眠中の副運転手が自動車運転の運転ミスにより負傷したケースに関連した損害賠償請求事件で、労災保険法にいう「同一の事由」の意義が争われた事例。
参照法条 自動車損害賠償保障法3条
労働基準法84条2項
体系項目 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償
裁判年月日 1971年6月21日
裁判所名 神戸地伊丹支
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (ワ) 244 
裁判結果 一部認容,一部棄却
出典 タイムズ267号293頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕
 原告が昭和四四年一二月一八日労災保険から障害補償として金二五六、九〇〇円の給付を受けていることは、当事者間に争いがない。労働基準法八四条によれば、使用者が、労災補償を行つた場合には、「同一の事由」について、その価格の限度において民法上の損害賠償責任を免れるものとし、又労災保険からの給付により、使用者の災害補償責任を免除しているから、労災保険給付があればその限度で使用者が災害補償を行つた場合と同視するのが相当である。ところで、同条にいう「同一の事由」とは、同一の災害から生じた損害を指すものではなく、災害補償の対象となつた損害と民法上の損害が同質同一であり、民法上の賠償を認めることによつて二重の填補を与える関係にある場合を指すものと解すべきところ、本件障害補償は、障害の残存することによつて将来にわたつて生ずるであろう減収すなわち財産上の損害を填補するものであるから、原告が本訴によつて請求する入・通院時における雑費、交通費の支出および休業による財産的損害はもちろん、慰藉料などの精神的損害との間にも同質性、同一性は存在せず、従つて本訴請求を認めても二重の填補を与える関係にないことが明らかである。被告のこの点に関する損益相殺の主張は採用できない。