全 情 報

ID番号 05706
事件名 行政処分取消請求事件
いわゆる事件名 渋谷労働基準監督署長事件
争点
事案概要  元個人タクシー運転手として業務に従事していた者が、災害事故につき障害等級八級の認定を受けたことにつき、左眼失明、左眼瞼下垂、涙小管断裂による流涙、さらに神経症状を総合すると障害等級七級に相当するとして争った事例。
参照法条 労働者災害補償保険法施行規則14条
体系項目 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 障害補償(給付)
裁判年月日 1990年5月18日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (行ウ) 220 
裁判結果 棄却(確定)
出典 労働民例集41巻3号466頁/労働判例563号20頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-障害補償(給付)〕
 以上認定した原告の障害をみると、左眼失明のほかにも障害等級一四級相当の涙小菅断裂による流涙が認められる(左眼瞼下垂は、障害等級表に該当する障害とは認められない。)が、併合により最も重い方の障害である左眼失明の八級に該当すると認めるのが相当であり、これを超えて障害等級表の七級に該当すると認めるのは相当でない(仮に、本件処分当時原告に前記の眼球の痛み等があったとしても、障害等級一四級程度であるから、右認定を左右するものではない。)。前掲乙第六号証には、原告の障害としては左視力障害、流涙、眼瞼下垂があるとしたうえで、併合し七級が望ましいとの記載があるが、その根拠は明らかではなく、以上認定したところに照し、七級が望ましいとの右記載を採用することはできない。
 原告は、失明だけの後遺障害の場合と原告のようにそのほかに障害がある場合で同一の障害等級となるのは労災法の趣旨からいって不当であると主張する。しかし、ある後遺障害のほかに後遺障害がある場合に、必ずより上位の障害等級に該当するということになれば、障害等級全体の序列を崩すことにもなりかねない。障害が複数ある場合、原則として前記の併合の方法により処理されることに合理性があるものと解される。そして、原告の前記後遺障害の程度を考えても、併合による処理の結果障害等級八級にとどまることが不合理であるということはできない。