全 情 報

ID番号 05814
事件名 仮処分取消申立事件
いわゆる事件名 三洋電機(パート年齢制限)事件
争点
事案概要  契約期間一年の定勤社員として雇われたパートタイマーが、一定年齢に達した後は契約の更新を拒否されたことを違法であるとして争った事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 退職 / 定年・再雇用
裁判年月日 1991年10月22日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (モ) 50471 
裁判結果 一部認容,一部却下
出典 労働判例595号28頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔退職-定年・再雇用〕
 前記認定事実によると、仮に新たに雇用契約を締結(更新)したとすればその期間が満了するまでに満五七歳に達する定勤社員(すなわち雇用契約締結時五六歳である定勤社員)については、旧規則上新たな雇用契約を締結しない旨が明記されていたところ、新規則においては、その年齢を具体的に定めず「別に定める一定年齢」としながらも、雇用期間中に満五六歳に達する定勤社員については、その雇用契約書に不動文字で、同契約をもって最終契約とし、期間満了後新たに契約を更新しない旨が明記されており、実際にも同契約の満了後新たに雇用契約が締結されることはなく、右期間満了をもって退職していることが明らかであり、これに反する疎明はまったくない。したがって、申立人においては、旧規則から新規則への移行によって、雇用契約締結に関する制限年齢を変更したものということはできず、新規則において明記されてはいないものの、同規則の条項にいう「別に定める一定年齢」は、満五七歳であると推認することができる。そして、定勤社員につき期間の定めのある雇用契約が反復更新され、雇用契約関係のある程度の継続が期待されているとしても、被申立人が、仮に新たに雇用契約を締結したとすれば契約期間中に満五七歳に達する場合には、当該雇用契約は締結されず、現に継続中の雇用契約期間の満了をもって、雇止めその他更新を拒む意思表示をとくに要することなく、当然に申立人の従業員たる地位を喪失することを了解していたことは前記のとおり明らかであるから、このような場合にもなお雇用関係の継続を期待していたとは到底認めることはできず、現に継続中の雇用契約の期間の満了をもって申立人の従業員たる地位を喪失するというべきである。なお、前記のとおり、現規則一八条但書は、期間の定めのない雇用契約関係を前提とした定年制を定めたものではなく、定勤社員につき新たな雇用契約の締結、すなわち契約更新に対する年齢的制限を定めたものであるから、この年齢的制限が正社員の定年年齢よりも低く定められているとしても、この程度の区別をもって特に合理性を欠いたものとはいえず、したがって、公序良俗に違反するものとはいえない。