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ID番号 05889
事件名 地位確認等請求控訴事件
いわゆる事件名 大阪大学(図書館事務補佐員)事件
争点
事案概要  日々雇用の非常勤職員として、四年六カ月の間、国立大学付属図書館に勤務してきた者による地位確認請求につき、日々雇用の一般職国家公務員の地位は任用期間の満了により当然に終了するとされた事例。
参照法条 国家公務員法附則13条
人事院規則8-14(非常勤職員の勤務時間及び休暇)74条1項3号
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1992年2月19日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (ネ) 2471 
裁判結果 控訴棄却
出典 訟務月報38巻10号1785頁/労働判例610号54頁
審級関係 一審/05498/大阪地/平 2.11.26/昭和60年(ワ)2097号
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 五 任用更新の継続により期限の定めのない任用に転化したか
 控訴人が、昭和五六年五月一一日に日々雇用職員に採用されて以後、昭和五七年三月三一日と昭和五八年三月三一日の任用中断期日をはさんで昭和五九年三月三〇日まで任用されたことは先に述べたとおりであるが、右に認定のとおり、控訴人は、昭和五六年五月一一日の任用開始時に「任期は一日とする。ただし任命権者が別段の措置をしない限り昭和五七年三月三〇日まで任用を日々更新し以後更新しない」と記載された人事異動通知書を受け取り、任用予定期限経過のころに、昭和五七年三月三一日付けで「昭和五七年三月三〇日限り退職した」と記載された人事異動通知書の交付を受けてこれを受領し、以後同様の人事異動通知書の交付を受けてこれを受領しながら昭和五九年三月三〇日にまで至ったものである。そして、前示のとおり、国家公務員の勤務関係は公法上の関係であって、その任用については国公法、人規その他の公法的規制下にあり、日々雇用職員としての任用の更新が継続されたことを理由として、控訴人の日々雇用職員としての任用が期限の定めのない非常勤職員としての任用に転化することを認めることは、結局、任用の要件、手続、効果等について、それぞれ法律によって定めている右国公法等の規定の趣旨を潜脱する結果となるから、許されないものと解するのが相当である。控訴人は、この点について、国立A大学総長が控訴人を日々雇用職員に採用するについては国公法三六条一項に定める「能力の実証」が実質的に行われていた旨主張するが、その理由のないことは前述のとおりである。
 六 解雇法理が類推適用されるべきか
 控訴人は、国立A大学総長が控訴人の任用を更新しなかったことの当否を判断するについては、解雇に関する法理を類推適用すべきであると主張する。
 しかし、公法的規制を受ける国家公務員の任用関係の性質からすると、日々雇用の一般職国家公務員の地位は、任用期間の満了により当然に消滅するものというほかなく、したがって、期間が満了した非常勤職員を再度採用するかどうかは任命権者の自由裁量に属し、解雇に関する法理を類推適用すべき余地はないものと解するのが相当である。よって、控訴人の請求原因5記載の主張も理由がない。